2014 Fiscal Year Research-status Report
植物と昆虫の形質多型に着目した生物における資源配分戦略の解明
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26870435
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
徳田 誠 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60469848)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 形質多型 / 資源配分戦略 / オオイヌタデ / イチゴハムシ |
Outline of Annual Research Achievements |
葉に形質二型(有毛型・無毛型)が見られるオオイヌタデと,それを利用する植食者群集に着目し,形質二型が維持されているメカニズムや適応的意義を明らかにする研究に取り組んだ。また,オオイヌタデの主要な植食者であり,翅多形が発見されたイチゴハムシについて,多型発現機構と適応的意義を明らかにする研究に取り組んだ。 オオイヌタデに関しては、本種の主要な植食者であるイチゴハムシやクサイチゴトビハムシに対する防御効果を検証した。室内での選択および非選択摂食実験の結果、両ハムシとも有毛型より無毛型の方を選好することが判明した。また、室内飼育実験の結果、イチゴハムシは無毛型を摂食した方が幼虫期間が短く、成虫の体サイズも大きくなる傾向が見られた。無毛型・有毛型を同一ポットで栽培すると種子生産量に違いは見られなかったが、イチゴハムシ成虫を導入して同様の実験を実施した結果、有毛型の方が相対的にパフォーマンスが向上した。以上の結果から、オオイヌタデにおけるトリコームは、ハムシ類に対する物理的防御形質として有効に機能していると考えられた。 イチゴハムシに関しては、後翅が退化する個体は北陸地方や中部地方で高い比率で確認されたが、北海道や東北地方、四国、九州および南西諸島ではほとんど確認されなかった。交配実験による次世代は両親の中間的な形質を示し、母系の影響をより強く受ける傾向が認められたことから、本種の翅形はポリジーン支配であり一部の遺伝子は性染色体上に存在することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した通りに研究が進捗しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、引き続き研究を遂行する。
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