2016 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of resource allocation strategies in organisms with special reference to polymorphism in plants and insects
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26870435
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
徳田 誠 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60469848)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 形質多型 / 資源配分戦略 / オオイヌタデ / イチゴハムシ |
Outline of Annual Research Achievements |
葉に形質二型(有毛型・無毛型)が見られるオオイヌタデと、それを利用する植食者群集に着目し、形質二型が維持されているメカニズムや適応的意義を明らかにする研究に取り組んだ。また、オオイヌタデの主要な植食者であり、翅多型が発見されたイチゴハムシについて、多型発現機構と適応的意義を明らかにする研究に取り組んだ。 オオイヌタデの葉のトリコーム(微毛)が植食者群集に及ぼす影響を調査した結果、主要な植食者であるイチゴハムシとクサイチゴトビハムシ、タデキボシホソガのうち、前二者による食害を回避する上で有効であること、および、トリコームの存在が、イチゴハムシの幼虫の発育遅延や、成虫の産卵数低下など、複合的な影響を及ぼす事などを明らかにした。また、タデキボシホソガは有毛型上の方が密度が高く、その原因は、幼虫期の生存率が無毛型よりも高いためであることが明らかになった。 オオイヌタデは単独栽培条件では有毛型の方が多く枝分かれすることや、無毛型の方が多くの種子を生産すること、競争栽培条件では枝分かれをしなくなり、生産種子数の差が検出されなくなる事、競争栽培条件にイチゴハムシを導入すると、有毛型の方が有利になる事などが判明した。また、イチゴハムシは季節により様々な植物上を渡り歩き、主として夏場以降に野外における有毛型の比率は、イチゴハムシの密度が高いほど有意に高くなる事が判明した。これらの結果から、オオイヌタデの二型の維持にはイチゴハムシの存在が影響していると考えられた。 また、イチゴハムシの翅型は量的遺伝子により決定されており、一部の遺伝子は性染色体上に存在していること、および、分散形質と繁殖形質の間にはトレードオフが存在していることなどが明らかになった。したがって、分散の必要性が相対的に小さい地域では、短翅型の方が有利になると考えられた。 一連の結果は順次学術論文として発表している。
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