2015 Fiscal Year Research-status Report
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26870439
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
堀江 哲也 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (40634332)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 野生動物 / 森林 / 病害虫の拡散 / 絶滅危惧種の保全 / 観光需要 / 経済的手段 |
Outline of Annual Research Achievements |
「森林生態系多様性基礎調査データ」を用いたプロビット分析を行うことにより、野生動物の拡散が日本の森林における病虫害の拡散に与える影響について分析を行った。この際、被説明変数を該当する区域(グリッドセル)における森林において、病虫害が確認されているかどうかとした。そのうえで、説明変数を①森林管理が行われているかどうか(皆伐、択伐、間伐、除伐、下刈、枝打ちの内のどれかがなされているか)、②シカの存在が確認されているか、③気象害が起きているかどうか、の3つと、地域ダミーとした。シミュレーション結果を空間上にプロットすることにより、リスクマップの作製を行った。 また、本年度は、野生動物管理や絶滅危惧種への保全の費用負担を、それらの種が生息している地域への観光客に期待することができるかどうかについて、検討を行った。8月に奄美空港において奄美大島における自然環境と観光需要の関係を明らかにするために「観光と自然に関する研究アンケート」と題した全部で28問のアンケートを観光客に対して行った。その結果、221通のアンケートを集めることができた。山、川、海の絶滅危惧種を含む野生動物、魚、サンゴと出会うことに対し事前に形成していた期待と、それらの生息域に人々が観光として足を運ぶことに実際にどの程度の時間(観光の全体の時間の何割)をかけたについて捉えた。その中でも、山とリュウキュウアユの生息する川の流域にどの程度の時間過ごしたかを調べ、海と比較して川がどの程度の人間を集客するのかを考察した。また、世界遺産(自然遺産)暫定リスト入りがどの程度、人々の自然観光に貢献しているかについても考察を行った。 研究成果の一部として、以下を出版した。 堀江哲也(2015)「生物多様性保全と経済的手段」大沼あゆみ・栗山浩一編『生物多様性を保全する』シリーズ環境政策の新地平4, 第6章, 岩波書店, pp.121-142。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究成果の一部を出版することができたため、研究の進展を「順調」に進んでいると評価してよいと考えられる。ただし、昨年度に手に入れたマングースの管理データの解析が少し足踏みしているため、「おおむね順調」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度に行った森林の病虫害の拡散と野生動物の拡散の関係についての分析、絶滅危惧種の存在が観光需要に与える影響についてのアンケートの解析結果をさらに展開して出版に向けて学術雑誌に投稿する。また、マングースの管理データの解析を進める。
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Causes of Carryover |
本年度に絶滅危惧種の保全についても研究を行い、その際に調査旅費と人件費がかかりました。しかし、この中で、LCCを使うまたは船を使うことにより、調査旅費を最小限に抑える努力をしたため、45268円余り、次年度使用額が生じました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に繰り越した金額(45,268円)を次年度の予算に合わせて、学会発表のための旅費または調査旅費として用いる計画をたてています。
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