2015 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルブレインの観点に基づく自閉症スペクトラム障害児への支援システムの開発
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26870446
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
菊池 哲平 熊本大学, 教育学部, 准教授 (70515460)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 発達障害 / 授業のユニバーサルデザイン / グループ・プレイ・セラピー / ソーシャルブレイン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度はソーシャルブレインの観点からASDの障害特性を明らかにするために、以下の調査を行った。1)ASD児における愛着(内的作業モデル)タイプについて、2)ASD児における他者からの影響力(社会的勢力)の受け止め方について、3)ASD児の学校生活における興味関心と満足度。いずれの調査においてもASD児が他者との関係形成や運用に非定型的な特性をもっていること、特に他者からの働きかけについては自身にもたらされる強化子や罰刺激の回避などといった報酬系の役割に依存していることが明らかになった。またASDを始めとする発達障害児の支援システムとして、4)熊本市立黒髪小学校通級指導教室との連携でグループ・プレイ・セラピーの実施と効果検証、5)通常学級における発達障害児の適応を促すための授業づくり・クラスづくりのための授業のユニバーサルデザイン化に関する調査研究、6)支援システムの効率化のためのチェックリスト・尺度づくり、を行った。特に6)については、通常学級における発達障害児の適応を促すための方策を客観的に定量化することができ、今後の効果検証においても有用な知見になると思われる。加えてASD児に対する個別的なアプローチとして、ソーシャルブレインの観点から7)模倣課題を主にしたプレイセラピーや8)言語化することで行動の調整を図ることを目指した個別セラピーを行い、いずれも事例に改善が見られた。今後はこれらの知見をさらに詳細に検討するための実験研究や、支援システムの効果検証のための大規模な調査研究を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた調査研究及び事例研究については計画通り進捗している。実験研究については、実験機材の調整などが必要となっており、次年度の実施予定となっている。調査研究及び事例研究で得られた知見については、当初予想していたよりも多くの知見を得られており、今後、関連学会等で発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている実験研究の実施及び支援システムの効果検証のための大規模調査等を予定している。またグループ・プレイ・セラピーなどの効果検証についても、経年変化をもとに長期的な視野での分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
使用物品等に購入予定額よりも大幅に価格低下が生じたため物品費が当初予算よりも減額した。代わりに予定していた学会等への参加を増やし、資料収集及び研究知見の発表を行ったため、差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降の実験機器及び消耗品の購入に充てる予定。
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