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2014 Fiscal Year Research-status Report

85Krを用いた湧水年齢の高時間分解能での解明と実用化

Research Project

Project/Area Number 26870448
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

利部 慎  熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (20608872)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords地下水 / 年代推定 / クリプトン85 / 地下水流動機構 / 熊本地域
Outline of Annual Research Achievements

地下水(湧水)の年齢を測定することは、その流動機構を解明する手がかりになり得るうえ、資源管理の観点からも重要な情報となり得る。本研究では、世界的にも最新の手法であるクリプトン85(85Kr)を主な年代トレーサーとし、さらに他の年代トレーサーであるSF6やCFCs、さらには水の安定同位体比や水質といった各種手法を用いることで、年齢を含めた総合的な地下水の流動機構の解明を目指している。
平成26年度は、現地調査に要する時間や作業内容の負荷軽減のためのガス採取装置の改善を試みるとともに、熊本地域を南北に流動する地下水流動ライン上において、上流域・中流域・下流域での調査を実施した。
現地での調査では、水蒸気をトラップするための冷却装置を導入することで、これまでのドライアイスを用いる方法よりも、より効率的かつ軽負担での作業が可能となった。また、地下水に溶存するガス採取には連続的な作業が必要となり徹夜での調査であったが、装置内に改善を施したことで、一時的に作業を停止しても問題ないことが確認できたため、徹夜作業を避け作業負荷を軽減することができ、本手法の実用性が高まった。
実際に熊本地域で得られた、地下水中に溶存するガスを実験室に持ち帰り、精製・分離作業を行うことにより、Krガスのみを石英バイアルに吸着させ、液体シンチレーターを流し込んで封入し、それを九州大学にて計測した。その結果、いずれの地点においても85Krの濃度は低濃度であったことから、約40年よりも古い地下水であることが判明した。この地下水流動ラインでの年代推定は、過去に研究例がほとんど見られないことから、有意義な成果となった。
平成27年度は、熊本地域内の他の地点における年齢推定を行い、結果の蓄積および他の年代トレーサーとのクロスチェックを実施することで、本手法の有効性の検証および実用化に向けた改善を繰り返してゆく。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

湧水(地下水)の年齢推定のために、85Krを用いた手法にチャレンジしている。85Kr法は、他の年代トレーサーと比較して、地下水流動過程での人為的な濃度付加や還元場での濃度分解といった濃度変化の要素がないことから、理想的なトレーサーであることが分かっている。しかし、地下水に溶存している濃度が極めて微量であることや、溶存しているガスからの抽出・精製・分離・計測の一連の手法が煩雑であるために、実用性が低いことが大きな課題であった。
本研究ではその課題克服のために、現地調査で用いる装置の改善を施すことで、現場での作業負荷軽減を目指すことと、実測値を蓄積することで85Kr法の有効性を検証することが目的である。当初は、装置の改善や実測値の蓄積には時間を要すると見込んでいたが、当初の計画以上に進展しており、初年度に計6地点での調査を実施することができた。
よって、次年度以降にはさらなる地点数の増加が見込まれ、これに加えて他の年代トレーサーや水文化学手法を用いることにより、年齢を含めた総合的な地下水の流動機構の解明が期待できる。

Strategy for Future Research Activity

既に現地調査で用いる装置の改善が施され、調査の地点数も増加してきていることから、熊本地域を含めた各地における85Kr法を用いた地下水の年齢推定の実測値がより蓄積されることが見込まれる。
今後は、他の年代トレーサーを同一地点で測定することにより、様々な手法を用いた地下水年齢のクロスチェックを行うことで、年齢推定精度の向上を目指してゆく。
さらに、地下水の集水規模や流動機構の大小、季節変化も考慮した、複数地点での繰り返し測定も実施することで、より精緻な地下水流動機構の解明に資する成果をあげるとともに、学会発表や国際誌への掲載により、世界各地で実用可能な手法を目指すことを最終目標とする。

  • Research Products

    (2 results)

All 2015

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 85Krを用いた地下水の滞留時間推定と他の水文トレーサーによるその検証2015

    • Author(s)
      利部 慎・松永 緑・石井智久・百島則幸・嶋田 純
    • Organizer
      日本地球惑星科学連合2015年大会
    • Place of Presentation
      幕張メッセ
    • Year and Date
      2015-05-25
  • [Presentation] Groundwater age determination by using 85Kr and its verification by other hydrogeochemical age tracers2015

    • Author(s)
      Makoto KAGABU, Midori MATSUNAGA, Tomohisa ISHII, Jun SHIMADA, Noriyuki MOMOSHIMA
    • Organizer
      IAH 2015 Asia-Pacific Regional Meeting, Jeju Island, Korea
    • Place of Presentation
      Lotte City Hotels Jeju
    • Year and Date
      2015-04-09

URL: 

Published: 2016-06-01  

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