2014 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子組換えルジグラスの短期固定化技術による育種プロセスイノベーション
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26870453
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
石垣 元気 宮崎大学, 農学部, 助教 (80584573)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遺伝子組換え / 耐乾燥性 / ルジグラス / アポミクシス草種 / 種間交雑 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究者は、これまでに2倍体のルジグラス(B. ruziziensis)の多芽体または種子由来幼植物体へのコルヒチン処理により作出した4倍体ルジグラスを用いて、エンブリオジェニックカルスを誘導し、そのカルスを標的組織としてパーティクルガン処理し、シロイヌナズナ由来の環境ストレス応答性遺伝子DREB1Aの導入を行った。その結果、DREB1A遺伝子が導入された遺伝子組換え体当代が5系統得られている。 本申請課題において、H26年度は、既に得られた5系統の組換え体当代からT1世代(13個体)を作出、選抜し、これらの組換え体T1世代の乾燥ストレス条件下における耐乾燥性について調査した。耐乾燥性の調査では、遺伝子組換え体および非遺伝子組換え体に無潅水処理を14日間行い、導入遺伝子の発現量、電気伝導度(EC)、葉身の相対水分含水率(RWC)および葉緑素含量値(SPAD)を測定した。 乾燥ストレス処理3日目では、全ての組換え体T1世代においてDREB1A遺伝子の発現がRT-PCR解析により確認され、その発現量も非遺伝子組換え体よりも有意に高かった。乾燥ストレス14日目では、一部の組換え体T1世代は、全ての調査項目(EC、RWC、SPAD)において、非遺伝子組換え体よりも有意に優れた値を示し、再潅水処理後においても、高い緑部割合が認められた。さらに、これらの組換え体T1世代を種子親として、4倍体アポミクシス草種(B. brizantha、B. decumbens)を花粉親とした種間交雑を行い、得られた交雑種子を発芽させ、PCR解析によりDREB1A遺伝子およびアポミクシス関連遺伝子の両方が遺伝した雑種個体を選抜したところ、B. brizanthaを花粉親とした種間交雑では3個体の、B. decumbensを花粉親とした種間交雑では1個体の計4個体の雑種個体が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題では、環境ストレス、特に耐乾燥性を付与した遺伝子組換え牧草の短期間での固定化を目的としており、第一段階として、遺伝子組換え体の作出ならびにアポミクシス草種との種間交雑、第二段階として遺伝子組換え雑種個体の導入遺伝子の発現量と耐乾燥性および栽培形質の均一性について調査することを目標としている。初年度は、既に第一段階を達成していることから、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、作出された遺伝子組換え雑種個体の導入遺伝子(DREB1A)が、アポミクシス性の遺伝によって、後代に引き継がれるか。そして、その導入遺伝子の発現量は世代間において差が生じるのかどうかについて明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
当年度は、当該年度の所要額が若干生じたものの、研究の進捗状況に応じた予算支出を行うことが概ねできている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた次年度使用額については、引き続き、研究進捗に応じた計画的な支出を行う。
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Research Products
(1 results)