2015 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子組換えルジグラスの短期固定化技術による育種プロセスイノベーション
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26870453
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
石垣 元気 宮崎大学, 農学部, 助教 (80584573)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遺伝子組換え / 耐乾燥性 / ルジグラス / アポミクシス草種 / 種間交雑 / 質的同等性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまでに2倍体のルジグラス(B.ruziziensis)の多芽体(Ishigaki et al., 2009a)または種子由来幼植物体へのコルヒチン処理により作出した4倍体ルジグラスを用いて、エンブリオジェニックカルスを誘導し、そのカルスにシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のDREB1A遺伝子の導入を行った。その結果、DREB1A遺伝子が導入された遺伝子組換え体当代(以下、組換え当代と記す)が5系統得られている。本申請課題において、H27年度は、H26年度に得られた遺伝子組換え雑種個体(シグナルグラスを花粉親とした種間交雑では1個体、パリセードグラスを花粉親とした種間交雑では3個体の計4個体の雑種個体が得られた。)を用いた耐乾性および形態的特性の均一性の調査を行うのに先立ち、遺伝子組換えT1世代を用いた形態的特性および有害物質産生試験について調査した。形態的特性については、草丈、穂長および茎径において組換え体と非組換え体との間に有意差が認められたものの、環境に及ぼす負の影響とは考えられないものであった。組換え体および非組換え体の鋤込み土壌において栽培したダイコンの発芽率、草丈、生重および乾物重は、調査項目全てにおいて系統間に有意差が認められなかった。以上の結果から、本組換え体において新たに有害物質の産生性形質の獲得は確認されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H27年度は、当初は得られた雑種個体における導入遺伝子の発現量、耐乾燥性および形態的特性の均一性について調査を予定していたものの、組換え体の反復数に必要な株を増殖することができなかった。このことから、H27年度は、組換え雑種個体の増殖を行いつつ、新たな課題として組換え体の非組換え体との質的同等性について提起し、追加調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は、H27年度に増殖した組換え雑種個体を用いて、雑種個体における導入遺伝子の発現量、耐乾燥性および形態的特性の均一性について調査を行うものとする。作出された組換え雑種個体の導入遺伝子(DREB1A)が、アポミクシス性の遺伝によって、後代に引き継がれるのか。そして、その導入遺伝子の発現量は世代間において差が生じるのかどうかについて明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
当該年度の所要額が若干生じたものの、研究の進捗状況に応じた予算支出を行うことが概ねできている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた次年度使用額については、引き続き、研究進捗に応じた計画的な支出を行う。
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