2014 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質が調節する摂食行動に対するオレキシンの役割
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26870457
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
楠本 郁恵 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80724757)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / 摂食行動 / オプトジェネティクス / オレキシン |
Outline of Annual Research Achievements |
空腹・満腹であることの知覚は、我々の摂食に関わる価値判断と行動を決める重要な情報である。本研究では、これまで主に調べられてきた視床下部での摂食関連ペプチドによる摂食行動調節だけではなく、もう少し、我々の意識に上るような感覚を扱う大脳皮質領域による摂食調節メカニズムを探るため、摂食行動を調節しているのではないかと考えられている皮質領域と、体内の空腹-満腹状態を反映する信号としてオレキシンに着目し、それら2つの摂食行動に果たす役割を検証することを目的としている。 大脳皮質領域でのオレキシンの役割を調べるにあたり、①摂食行動を評価できる行動実験系を立ち上げること、②①の実験系でのオレキシン自体の役割を、薬理的手法及び、本実験の主要技術でもあるオプトジェネティクスの手法を用いて明らかにすること、を26年度におこなう実験として計画した。摂食行動を評価できる行動実験系として、累積摂食量の測定、動物の味への嗜好性を評価することもできる、two-bottle choice test、また食欲の指標としても用いられるオペラント行動課題をマウスに安定して行わせる実験環境を整えることができた。またこれらの行動課題中に、マウスの対象脳領域を光刺激するための仕組みも開発し、オプトジェネティクスの実験も組み合わせ始めることができた。計画②のオレキシン自体の役割を明らかにする実験では、薬理的実験では、動物の行動発現に対するオレキシン放出の関与を確認できている一方で、光刺激による再現実験では、刺激方法に改良が必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、大脳皮質による摂食行動調節メカニズムを明らかにすることである。大脳皮質のうちの島皮質において、マウスが餌を予測することを反映していると考えられる神経活動が観察されること、また、島皮質の神経活動を抑制することによって、餌予測行動が抑制されることを見出し、論文報告した(Kusumoto-Yoshida 2015)。このことから、島皮質の関与する摂食行動の他の側面、更には、島皮質の神経活動を変化させる神経回路のうち、オレキシンの関与について調べたいと考えており、そのための行動実験のセットアップが終了した点については、非常に順調であったと評価できる。オレキシンの関与については、引き続き条件検討を重ね、実験を続けていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、島皮質におけるオレキシンの役割をオプトジェネティクスを用いて調べるために、引き続き、光刺激実験の条件検討を重ねる予定である。具体的には、光感受性タンパクの導入方法の変更、また、効果的な刺激パラダイムの確立である。これらの点に関しては、すでに実験を始めており、改善が見込める。 また、同時に、島皮質の神経活動抑制、更にはオレキシン受容体阻害剤投与が、これまでに確立した摂食関連行動にどのような影響を与えるのかを主に行動学的に調べることで、手法の異なる2つの方法でオレキシンの果たす島皮質への役割を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(1 results)