2015 Fiscal Year Research-status Report
銀行等引受債の金利に関する実証分析:地域金融機関による寡占と公的資金の役割の検証
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26870463
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
石田 三成 琉球大学, 法文学部, 准教授 (40571477)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地方債 / 銀行等引受債 / 地位金融機関 / 寡占 / 市場分断仮説 / 公的資金 / 財政投融資 / 地方公共団体金融機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
地方債の金利の決定要因を探った既存研究の多くは、自治体の財政状況や国による自治体への信用補完が地方債の金利や起債行動に与える影響を明らかすることに主眼が置かれていた。また、既存研究が対象としていたのは都道府県および政令市の市場公募債(直接金融)であった。しかし、政令市を除いた一般市町村にとって、事実上、民間資金といえば銀行等引受債(間接金融)に等しいにも関わらず、一般市町村レベルの銀行等引受債に関する実証分析は全く行われてこなかったようである。 そこで、本研究では、市町村の発行する地方債のうち銀行等引受債を対象に、その金利決定要因を探ることとした。さらに、既存研究の視点に加えて、1.金融機関が少ない地域では金融機関の交渉力が強く、地方公共団体は高い金利で借り入れることを強いられているのではないか、2.公的資金(財政融資資金・地方公共団体金融機構資金等)はどのような基準で各団体に配分されるのか、という2つの仮説を明らかにする。 本年度は、市町村の保有する銀行等引受債の起債条件に関するデータを収集し、データベースの構築をほぼ終えた。また、九州および沖縄地方の市町村を対象にした分析が完了し、前年度の北海道を対象にした分析と同様、上記の仮説の妥当性が認められた。さらに、その分析結果を学会でも報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の目標は、1.前年度に引き続いてデータ収集およびデータベースの構築を行うこと、2.北海道以外の地域についても分析を行うことであった。前者についてはデータベースの構築をほぼ終えたこと、後者については九州および沖縄地方を対象とした分析を発表したことから、おおむね順調に研究は進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の目標は、整備されたデータベースをもとに全ての地域を対象とした分析を行い、研究会や学会で成果を報告することである。
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Causes of Carryover |
初年度に発生した残額が2年目にも残ったことが原因である。初年度に残額が発生した理由は以下の通りである。 データ収集の手段として、当初は情報公開請求を基本としていた。この場合、開示請求権があればほぼ確実にデータを入手可能だが、開示手数料に費用がかかる。そのため情報公開手数料として「その他」支出を予算計上していた。しかし、自治体側の要望もあり、任意の情報提供依頼を基本とすることにした。その結果、データ提供を依頼する文書を送付するための郵送料等(返信用封筒等にかかる経費を含む)が生じるものの、開示手数料が発生せず、データをメールでやり取りしたことで郵送料も抑えられるケースが増えた。そのため、「その他」支出を大幅に圧縮できた。 なお、初年度の繰越額は898,787円(直接経費)だったが、想定以上に人件費がかかったことから2年目の繰越予定額は150,714円に減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ収集およびデータベースの構築をほぼ終えたが、まだ一部残っている作業もあるため、残額はそれに対処するための人件費に充てることとしたい。
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Remarks |
アンケート調査の趣旨説明等を掲載
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Research Products
(4 results)