2014 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児期のアフォーダンスの可視化ー拡張現実を用いた生活環境アプリケーションの提案
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26870473
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
西崎 実穂 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (90610957)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アフォーダンス / 拡張現実 / 生態心理学 / 住環境 / 乳幼児 / 発達促進 / ポルトガル / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(H26 年度)は,[1] 乳幼児の日常的行為の縦断的観察と [2] 拡張現実感(Augmented Reality, AR)の技術を用いたアプリケーション(iPhone,iPad対応)開発のうちコンテンツ作成を中心に研究を進めた。 [1] 縦断的観察については,本年度の4月から日本とポルトガルの2カ国で「家」環境における乳幼児の日常生活の縦断的記録を開始した。乳幼児は生後4ヶ月から12ヶ月までの10名を対象としている。税関や機材購入の手続きで遅延が生じ協力者の変更があったが,今年度中には目標人数に達することができた。さらに,映像記録を収集する際,場所設定(実験室ではなく「家」という日常環境における撮影)や月齢と期間設定(生後4ヶ月からの横断的ではなく縦断的な撮影)によるデータ収集の難しさによる影響が見られたため,予備的に協力者を追加することも検討している。 [2] ARアプリケーションの開発については,申請時は次年度から進める予定であったが,上述の通り[1]観察の進行にやや遅れが見られるため,先に動画数を増やす等のコンテンツの改善を開始した。修正を加えつつ国際学会や開発者のための国際会議に参加し,来年度アプリケーション開発を進める上で有益な知見が得られた。さらに,現在は日本とポルトガルの2カ国で観察を実施しているが,今後アメリカやイギリスにおいても観察実施の可能性が生じ,より国際的な研究としての展開に向け,協力体制を築くことができたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
縦断的観察データの収集について,生後4ヶ月から9ヶ月間の乳幼児の縦断的データを日本とポルトガルにおいて4月から収集予定だったが,購入手続きの遅れやポルトガルの税関で機材が約2ヶ月止まる等が生じ,開始時期が遅れた。月齢が過ぎてしまったため新たに別の協力者を探したことでやや遅れが見られるが,現在までには予定人数を確保し,終了の目処が立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度(H27年)は,まず観察データの収集を完了させて分析を行う。次に,データからアフォーダンスの抽出と拡張現実の技術を用いた可視化を行い,アプリケーションへ組み込むコンテンツ作成と開発の完成に向けて修正と検証を行う。随時,学会発表と論文執筆を進める予定である。また,本研究の土台となる乳幼児の観察成果の一部を平成27年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)に応募し,交付内定を頂いたので年度内に刊行を行う予定である。
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Causes of Carryover |
主な理由として,予定していた観察の協力者への謝金について変更が生じたことが挙げられる。観察への協力者を集める際に仲介して頂いたリスボン大学をはじめとする諸大学所属の研究者の方針と条件を合わせることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に継続される観察に必要な消耗品の購入と,旅費(学会発表用)の不足の補填に使用することを計画している。
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