2017 Fiscal Year Research-status Report
中国ドキュメンタリー映画批評の空間およびネットワークの構築
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26870476
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
佐藤 賢 明海大学, 外国語学部, 講師 (50726487)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中国ドキュメンタリー映画 / 中国映画 / ドキュメンタリー / アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、次の研究活動をおこなった。 研究実施計画に基づき、研究成果の発表に力を入れた。2018年1月に刊行された共編著『国際未来社会を中国から考える』(東方書店)に「中国を「見る」ために―映画『見つめる』が示唆するもの」を寄稿した。また、2017年5月に刊行された『現代中国入門』の第2章「現代中国の諸相2 映画」を執筆し、中国インディペンデント・ドキュメンタリー映画とも関係性を持つジャ・ジャンクー監督の映画『罪の手ざわり』を通して、監督が武侠映画の枠組みを参照することによって、現代中国の多様性・流動性・関係性を包括的に表現しようとしており、その際まなざしの問題が重要であることについて考察した。さらに、雑誌『東亜』(霞山会)に「中国独立ドキュメンタリー映画を想い起す」(607号)、「流れゆく人々を映し出す『苦い銭』」(610号)を寄稿した。前者では、ドキュメンタリー映画『映画のない映画祭』(王我監督)を取り上げて、独立的な芸術活動に対する当局の規制の厳しさと、それに対する芸術家たちの「抵抗」について触れるとともに、そこにおける記憶/記録の重要性について指摘した。後者では、王兵監督の新作ドキュメンタリー映画『苦い銭』を取り上げて、王兵監督独特の映画技法によって、映像として独創的に映し出される出稼ぎ労働者の姿が、現代中国において、多くの農村の人々が、経済発展やグローバル化にともない、故郷の土地を離れ都市部へ流れていかざるをえないという、中国社会の流動性を反映していると指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の発表を順調に行なうことができている。ただ、当初予定していた国際ワークショップを実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
国際ワークショップを実施する。引き続き研究成果を発表するとともに、書籍として出版する。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) 当初予定していた国際ワークショップを次年度に開催する方向へと変更したため。 (使用計画) 国際ワークショップを開催する予定である。
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