2014 Fiscal Year Research-status Report
fMRIを用いた動物型ロボットとの長期的な触れ合いが与える影響の調査
Project/Area Number |
26870478
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
和田 一義 首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (20453037)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 福祉・介護用ロボット / ヒューマンエージェントインタラクション / ロボット・セラピー / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は2カ年計画で、アザラシ型セラピー用ロボット・パロとの長期的な触れ合いが脳活動状態に与える影響を実験により調べる研究である。対象者にパロを1ヶ月間貸し出し、その前後で実験計測を行う。初年度に当たる本年度は、まず実験準備として本学日野キャンパス研究安全倫理委員会に本研究計画の倫理審査申請を行い、承認を得た。シルバー人材センターより協力者の派遣を行う予定であったが、対象者の条件(脳疾患系の既往歴無し)に合致する人物の派遣が保証できないとのため、対象者を20歳以上に拡大し協力者を募った。結果、20代、男子学生3名が協力者として参加した。2名をパロを貸し出す対照群、1名をパロを貸し出さないコントロール群とし実験を行った。 実験では、まず協力者の背景(年齢、性別、性格、動物の飼育経験)を収集した。次に事前計測として、パロON(パロ電源ON)、パロOFF(パロ電源OFF)それぞれと触れ合いを行っている際の脳活動状態をNIRS(日立製作所:WOT-100)を用いて計測した。各刺激との触れ合い前後における気分およびストレス状態の変化をPOMSおよび唾液アミラーゼ濃度により計測した。唾液アミラーゼは唾液アミラーゼ・モニタ(ニプロ)によりその場で計測した。次にfMRI(Philips:Achiva 3.0T)を用いて、パロON/OFFの映像刺激(各30秒)をランダムに安静(30秒)を挟みながら各6回提示し、各刺激に対する脳活動状態を計測した。次に対象群に対して、パロの使用方法について説明した後、1ヶ月間パロを貸し出した。対象者は自宅で自由にパロとの触れ合いを行い、この間のパロの利用状況について記録を付けて頂いた。コントロール群は通常通り生活をした。1ヶ月後、事前計測と同様の実験を行った。結果の詳細な分析はこれからであるが、中間報告としてまとめ国内の関連学会にて報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究で使用しているfMRI装置は本学の共有設備であり、他の研究グループも利用している。H26年11月に他の研究グループが利用中に事故が発生し、fMRI装置がクエンチした。事故調査、再発防止策の検討・策定、故障状況の調査、修理費の工面、修理作業等、が生じ、復旧までに4ヶ月以上の時間を要した。 本研究は、パロとの長期的な触れ合いが脳活動状態に与える影響を調査することが目的であり、fMRI装置はその要となる装置である。特殊な装置であることから、研究で利用可能な代替装置を有する協力施設を短期間で見つけることは困難であった。このため事故発生から装置が復旧するまでの間、実験の中断を余儀なくされ当初計画より遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年3月にようやくfMRI装置の修理が完了し、4月より実験可能となった。復旧時期が定かではなかったため中断していた研究協力者の募集を再開し、実験を推進する。特に協力者のうち高齢者については、実験場所の近隣住民等に募集を行い協力者の確保を目指す。 また、本研究はパロを協力者に1ヶ月間貸し出し調査を行う研究デザインである。研究計画の遅れを取り戻すため、パロを追加購入し同時に実験できる人数を増やす予定である。
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Causes of Carryover |
H26年11月~H27年3月にかけてMRI装置が事故による故障により使用不可となり、実験の中断を余儀なくされた。このため当初予定していた予算使用計画の変更を余儀なくされたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅れている研究を加速するため、同時に実験に参加する協力者の人数を増やす予定である。そのためのアザラシ型ロボット・パロ1体の追加購入費、実験補助者の雇用費等にあてる予定である。
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