進行・再発がん患者の意思決定を支えるウェブツールの開発

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26870488
• Research Institution: Nagoya City University
• Principal Investigator: 内田 恵 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00569254)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2018-03-31
• Keywords: 意思決定 / 進行・再発がん / ウェブツール

Outline of Annual Research Achievements

１．ウェブツールの開発
先行研究で、がん患者は心理的支援と情報提供を中心に援助を求めていることが示唆されたため、この領域に焦点を絞ったウェブツールの内容の検討を行った。具体的には、情報提供として、①治療とその副作用・副作用への対策、②治療を行わない利益とリスク、③がん患者・その家族と医療者とのコミュニケーション、④がん患者が一般的に感じる精神的負担とその対策、⑤がん患者の家族が一般的に感じる精神的負担とその対策等の含める。それ以外に医師やそれ以外の医療者との治療に関するコミュニケーションを促す為に、⑥本ツールを閲覧後、最後に閲覧したテーマがまとめて表示され、その中から次回の診察時に医師に質問したり、話し合いたい項目にチェックを入れ、その画面をプリントアウトできる様に設定する。また、更なる情報提供の為、⑦援助の希望が有る患者・家族には専門看護師から数回の電話による情報提供が出来る様、メールを介して担当者と連絡が取れる様設定する。加えて心理的支援として、⑧がん患者・家族の希望に応じて、数ヶ月の専門職（精神科医・心理士）による電話での介入（支持的精神療法・問題解決療法・認知行動療法）を受ける事が出来る様、メールを介して担当者と連絡が取れる様設定する。また、⑨がん患者とその家族への本ツールによる介入の有用性を調べる為の質問票も含める。各情報にアクセスした頻度と時間も計測できる様設定する。
２．Family Inventory of Needs (FIN)の日本語版の作成
FINは、進行がん患者の家族のニードを評価する為に開発された20項目から構成される自己記入式調査票である。原版は良好な信頼性・妥当性を有する事が示されている。手順としては、まずback translationの手法にて、日本語版を作成した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

ウェブツールの開発については、当初はその内容を平成26年度中に決定する予定であったが、現在も一部内容について検討中であり、予定よりやや遅れている。
Family Inventory of Needs (FIN)の日本語版の作成に関しても、back translation後、少数のがん患者の家族を対象にパイロット研究を施行した上で日本語版を完成させる予定であったが、パイロットの調査は現時点で施行できておらず、完成には至っていない為やや遅れている。

Strategy for Future Research Activity

平成27年度前半に、少数のがん患者の家族を対象にパイロット研究を施行し、Family Inventory of Needs (FIN)の日本語版を完成する。また、ウェブツールの内容を固定し完成させる。平成27年度後半以降は、ウェブツール、標準化されたFIN日本語版を使用し、次の２つの研究を実行する。
１． ウェブツールによる介入の効果を検討する無作為化比較試験
業者に依頼し、実際にウェブサイトを立ち上げ、少数のがん患者とその家族を対象にパイロット研究を施行し、ウェブツールの改善を行う。ニードが高い事が同定されている、進行乳がん患者群を対象として、その有用性を無作為化比較試験にて検討する。サンプルサイズはそれまでに得られたデータから改めて計算する予定である。
２． 我が国のがん患者の家族におけるニードの実態及びハイニード群の同定
FINを用いて、実際に我が国のがん患者の家族のニードがどの程度満たされているのかを明らかにするとともに、ニードの高いがん患者の家族群を同定する。

Causes of Carryover

27年度に予定しているウェブサイトの立上げ費用として繰り越しをした。

Expenditure Plan for Carryover Budget

ウェブサイトの立上げ費用に使用する。