2015 Fiscal Year Research-status Report
酵素反応機構を基に設計したユビキチン活性化酵素阻害薬の創製
Project/Area Number |
26870495
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 幸裕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30636402)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 創薬化学 / ドラッグデザイン / 低分子薬物 / ケミカルバイオロジー / 触媒メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキチンは様々なタンパク質のリシン残基に付加されることで、そのタンパク質の機能を制御している。例えば、ユビキチン化はタンパク質分解やシグナル伝達などの「目印」として利用されている。また、近年では、タンパク質の異常なユビキチン化ががんなどの疾患に関与していることが明らかとなってきた。すなわち、タンパク質の異常なユビキチン化を阻害する薬物は、がんなどの疾患治療薬になる可能性がある。そこで、本研究ではタンパク質のユビキチン化に必須であるユビキチン化活性化酵素(E1)に対する阻害薬の創製を目指し、研究を進めた。昨年度までにペプチド性のE1阻害薬を見出していたが、今年度はその阻害メカニズム解析を行った。その結果、期待したように不可逆的な阻害機構でE1を阻害することがわかった。しかしながら、ペプチド性の阻害薬は膜透過性および薬物代謝において問題があるため、より高度な試験(細胞・動物試験)での使用は難しい。そのため、それらの問題を回避しうる低分子型の阻害薬の創製も試みた。E1の三次元構造情報を基に計算化学的な手法を用いて、種々のE1候補化合物の設計し、比較的合成がよういな化合物を合成した。合成した化合物は、自身で構築した評価系にて、E1活性を評価した。その結果、2つの化合物が強くE1を阻害することがわかった。今後は、他の設計化合物の合成ならびに阻害活性評価を通じ、構造最適化研究・構造活性相関研究を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度は、おおむね順調に研究を遂行することができた。研究実績の概要に記したように計画していたペプチド性阻害薬のE1阻害メカニズム解析を行った結果、当初期待していたようにE1を不可逆的に阻害することが分かった。さらに低分子型のE1阻害剤の合成および活性評価を行った。活性評価系は、昨年度、自ら発現・精製したE1を用いて新たに構築した。活性評価の結果、2つの低分子化合物がE1を強く阻害することが分かった。このように当初計画していた内容をほぼ終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下のように研究を進める予定である。 (1)低分子型阻害薬の阻害メカニズム解析 (2)低分子型阻害薬の構造最適化研究および構造活性相関研究
(1)低分子型阻害薬の阻害メカニズム解析では、ペプチド性阻害薬と同様に進める予定である。また、(2)低分子型阻害薬の構造最適化研究および構造活性相関研究では、確立した合成経路従い、様々な誘導体を合成し、その活性評価を行う予定である。活性評価の結果を基に、新たな化合物を設計・合成をし、化合物の構造を最適化していく予定である。
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