2015 Fiscal Year Research-status Report
食品含有ポリフェノール類の生体内動態と活性発現メカニズムの解析
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26870506
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
石坂 朱里 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教 (30724463)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポリフェノール / フラボノイド / ケルセチン / 脱抱合 / グルクロニダーゼ / スルファターゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリフェノールの1種であるケルセチンは、吸収代謝の過程でグルクロン酸あるいは硫酸抱合体へ変換(解毒)されて生体内を循環した後、速やかに排泄される。一方、その一部は炎症部位において脱抱合酵素(β-グルクロニダーゼ、スルファターゼ)により局所的に脱抱合されて、生理活性の強いケルセチンアグリコンになると考えられている。 本年度はケルセチンアグリコンの生体内存在部位を究明するため、(1)マウス臓器ホモジネート中の脱抱合酵素活性の測定、(2) LPS(リポ多糖)により炎症誘導したマウスにケルセチンを投与し、その臓器中のケルセチンアグリコンのLC-MS/MS分析および、イムノブロッティングによる臓器中β-グルクロニダーゼの検出、(3)LPS投与マウス血漿中の脱抱合酵素活性と炎症性サイトカインであるインターロイキンー6(IL-6)の分析を行った。その結果、(1)β-グルクロニダーゼの酵素活性は種々の臓器ホモジネートでみられ、特に脾臓、胸腺、腸管などの免疫器官で顕著となった。一方、スルファターゼの脱抱合活性はβ-グルクロニダーゼと比較すると弱く、いくつかの臓器では検出限界以下であった。(2)炎症誘導マウスの脾臓および胸腺において、コントロールマウスと比較してβ-グルクロニダーゼ発現量の増加およびケルセチンアグリコン量の増加がみられた。(3)マウスへのLPS投与により、血漿中β-グルクロニダーゼの酵素活性が増加した。この酵素活性の増加は、ケルセチン摂取マウスで抑制される傾向がみられた。このとき、β-グルクロニダーゼの酵素活性と血漿中IL-6濃度との間には正相関がみられた。一方、血漿中スルファターゼの酵素活性は検出限界以下であった。 以上より、免疫器官ではβ-グルクロニダーゼの発現量および酵素活性が高く、それに伴い代謝物が脱抱合されてアグリコンが生じることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度からの課題であったモノクローナル抗体の作製は検討途中であり、当初の到達目標からはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ケルセチンアグリコンを認識するモノクローナル抗体の作製を引き続き進める。これを用いて免疫染色を行い、生体内のケルセチンアグリコン存在部位を検討する。
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Causes of Carryover |
モノクローナル抗体の精製や特異性解析まで至らなかったため、これらに必要な費用はH28年度へ繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度中に抗体を樹立することで、繰り越し分を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)