2016 Fiscal Year Annual Research Report
Bioavailability and bioactivity of dietary polyphenols.
Project/Area Number |
26870506
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
石坂 朱里 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教 (30724463)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポリフェノール / フラボノイド / ケルセチン / 脱抱合 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリフェノールの1種であるケルセチンは、摂取後は吸収代謝の過程でグルクロン酸や硫酸が抱合した代謝物へと大部分が変換されて生体内を循環する。一方、その一部は炎症部位において脱抱合酵素により局所的に脱抱合され、生理活性の強いアグリコンになると想定される。従って、代謝物とアグリコン両者の生体内存在部位や活性発現機構の究明が重要である。 昨年度までのリポ多糖炎症誘導モデルマウスを用いた検討から、免疫器官では脱抱合酵素の酵素活性が高く、ケルセチン代謝物の脱抱合によりアグリコンが生じることが示唆された。本年度は、炎症モデルの1つとして高血圧モデルラット(SHR)を用いて、ケルセチン代謝物の生理活性と脱抱合機構について検討した。具体的には、SHRにケルセチン-3-グルクロニド(Q3GA)を血中濃度約10μMとなるように静脈投与(24時間毎に2回)し、2回目の投与2.5時間後に血圧及び血漿中バイオマーカーの測定と血漿中ケルセチン濃度の定量を行った。その結果、Q3GA投与による収縮期血圧の低下傾向、血漿中のNO 濃度上昇、8-hydroxy-2’-deoxyguanosine(8-OHdG)濃度低下、アンジオテンシンⅠ変換酵素の活性増強傾向がみられた。一方、血漿中Q3GA濃度は数nMレベルとなり、アグリコンは検出限界以下であった。従って、炎症時の脱抱合機構については依然不明ではあるが、Q3GAの静脈投与によって炎症が関連する種々のバイオマーカーが変動し、血圧低下につながることが示唆された。 また、生体内のケルセチンアグリコンを免疫化学的に検出するため、抗ケルセチンモノクローナル抗体の作製に着手したが、キャリアタンパク質とのカルボジイミド結合のために合成した7-カルボキシメチルケルセチンの安定的な単離が困難であり、抗原完成までに至らなかった。今後、作製方法の再検討が必要である。
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