2014 Fiscal Year Research-status Report
開胸または開腹術を施行される消化器癌患者の術前運動負荷トレーニングの効果
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26870508
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 裕介 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (50508033)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 周術期リハビリテーション / 消化器癌 / 心肺機能強化トレーニング / 筋力増強訓練 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
開胸術または上腹部開腹術を予定されている消化器癌患者に対して術前からの計画的な運動療法を実施した。当該年度は、Body Mass Index25未満の肥満等合併症のないものを対象とした。介入群は手術決定後、手術入院までに5日間の入院リハビリテーションを実施した。内容は心肺機能強化トレーニング、筋力増強訓練、呼吸理学療法を実施した。心肺強化トレーニングは自転車エルゴメーターを用い、運動時間・頻度は連続30分を1日2回毎日実施し、運動負荷は最大酸素摂取量をもとに、目標負荷は最大酸素摂取量の60%とし、65歳以上または低活動例は最大酸素摂取量の50%とした。筋力増強訓練は、段差昇降訓練と、スクワット1日300回を行った。呼吸理学療法として、腹式呼吸での深呼吸、排痰指導を行った。また、自主トレーニングを指導し、退院後手術までの期間に実施した。自主トレーニングとしては、心肺機能強化トレーニングとして下肢エルゴメーターを30分を1日2回またはウォーキング30分を1日2回、筋力増強訓練として深屈曲でのスクワット1日300回、呼吸理学療法として腹式呼吸での呼吸訓練を行った。評価として体重、BMI、最大酸素摂取量、6分間歩行試験、呼吸機能検査、日常生活動作を評価した。また、術後合併症、術後離床時期、術後在院日数を調査した。最大酸素摂取量はリハビリテーション開始前と比較して、術直前に増加がみられていた。現在、データを解析中である。 開胸術または上腹部開腹術を予定されている消化器癌患者に対して、運動耐用能、筋力向上を目的として心肺機能強化トレーニング、筋力増強訓練を行った報告はなく、トレーニングが術後合併症、早期離床、早期退院、早期社会復帰に寄与するかどうかを解明することができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開胸術または上腹部開腹術を予定されている消化器癌患者に対して、術前からの心肺機能強化トレーニング、筋力増強訓練、呼吸理学療法を行った。リハビリテーションは研究に同意された全例に実施可能で、予定された入院、メニューを遂行できた。評価もおおむね実施可能であった。 しかし、計画的な心肺強化トレーニング、筋力増強訓練を実施しないことに対象が同意されないことが多く、対照群の症例が集まらないことが問題であった。 また、入院期間、検査日程、対象の同意等の関係で、特に最大酸素摂取量測定が複数回実施困難な例がみられた。最大酸素摂取量測定は、対象にとって負荷のかかる検査であり複数回の実施に同意が得られない場合があり、また時間が限定されることで検者、対象の時間調整が困難な例があったことが要因であると考えられる。また、術後合併症がみられた場合も、最大酸素摂取量、6分間歩行テストが困難な例がみられた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、Body Mass Index25以上を対象として、介入群は術前からの計画的な入院での心肺機能強化トレーニング、筋力増強訓練、呼吸理学療法および退院後の自主トレーニングを行い、対照群は呼吸理学療法、自宅でのウォーキング指導を行う。介入群のリハビリテーションメニューは前年度と同様に実施する。手術決定後、手術入院までに5日間の入院リハビリテーションを実施する。内容は心肺機能強化トレーニング、筋力増強訓練、呼吸理学療法である。心肺強化トレーニングは自転車エルゴメーターを用い、運動時間・頻度は連続30分を1日2回毎日実施し、運動負荷は最大酸素摂取量をもとに、目標負荷は最大酸素摂取量の60%とし、65歳以上または低活動例は最大酸素摂取量の50%とする。筋力増強訓練は、段差昇降訓練と、スクワット1日300回を行う。呼吸理学療法として、腹式呼吸での深呼吸、排痰指導を行う。また、自主トレーニングを指導し、退院後手術までの期間に実施する。内容としては、心肺機能強化トレーニングとして下肢エルゴメーターを30分を1日2回またはウォーキング30分を1日2回、筋力増強訓練として深屈曲でのスクワット1日300回、呼吸理学療法として腹式呼吸での呼吸訓練を行う。評価として体重、BMI、最大酸素摂取量、6分間歩行試験、呼吸機能検査、日常生活動作を評価する。また、術後合併症、術後離床時期、術後在院日数を調査する。介入群のリハビリテーション内容の実施については遂行は問題なく可能と考えられる。対照群に、計画的なトレーニングを行わないことに同意を得ることが課題である。実施しない旨の利点、欠点を説明し同意を得られるように努力をする。また、最大酸素摂取量が計画通り測定できるように、対象への説明、時間調整を適切に行う。
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Causes of Carryover |
スパイロメーター、貸出用エルゴメーターが既存のものが使用可能であった。また、内臓脂肪測定ソフトウェアの購入、学会発表、論文投稿が当該年度は未実施であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
貸出用エルゴメーター、内臓脂肪測定ソフトウェアの購入、学会発表、論文投稿、その他に使用する計画である。
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