2014 Fiscal Year Research-status Report
MRI歪み・信号むら汎用補正技術の開発による高精度脳萎縮縦断解析法の確立
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26870523
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
山下 典生 岩手医科大学, 医学部, 助教 (90628455)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | MRI / 歪み補正 / 信号むら補正 / 縦断解析 / 脳体積解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はMRIを用いた精度の高い縦断的脳体積解析の系を確立し、認知症診断および今後の脳画像研究に貢献する事を目的としている。その具体的内容として、MRI特有の幾何歪みおよび信号むらを補正するためのファントム(基準模型)を複数の磁場強度の装置に対応させて開発する事、ファントムで測定された情報を利用して歪み・信号むらを補正するプログラムを開発しウェブ上に公開する事、縦断解析のアルゴリズムとパラメータの最適化を行ない縦断的脳形態解析手法を確立させる事、および実際に前向き研究を行なってこれらの効果を実証する事を実施項目としている。 初年度である平成26年度はファントムおよび補正プログラムの開発を主として行った。アクリルパーツの切削において加工の精度不足や接着剤の染み出しなどで課題が発生したが、これらを解決して精度の高いアクリルファントムが完成し、特許を出願した(特願2014-239811)。現在は硫酸銅水溶液の封入における気泡の除去方法を検討中である。 ファントム画像を用いた幾何歪み・信号むらの補正プログラムについては現在プロトタイプが完成し、補正後の画像を実際に生成するのに成功している。今後アルゴリズムやインターフェースの改良・最適化を行い、十分な動作検証を経て平成27年度中にウェブ上に公開する予定である。 縦断解析アルゴリズム・パラメータの最適化については縦断的な信号むら補正が、時点毎の信号むら補正に対して追加効果を持つかについての検証を現在行なっている。初期検討では時点毎の信号むら補正が十分に行われれば、縦断的な信号むら補正処理の追加効果はあまり無い事が確認できている。 これらの系を組み合わせた、縦断解析法の前向き実証研究は現在準備中である。ファントムの気泡除去が十分に行われた後に研究を開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定通りファントムの形状は2回の試作の後に決定したが、接着剤が内側の液体封入部分に染み出す、また逆に接着が不十分なため溶液が染み出すなどの不完全な点があり、これらの解決のため切削加工の精度向上、および接着剤・接着方法の検討を重ねたため、十分な品質をもつファントムの完成が当初の予定よりやや遅れた。従って、ファントムが完成しないと実施できない歪み・むら補正効果の実証研究の開始がやや遅れている。ただし、ファントムの問題点は既にほぼ解決し年度内に特許出願を終えており、平成27年度中に十分巻き返しが可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在7テスラMRIにおいてファントムのテスト撮像を重ねており、気泡の完全な除去が終わり次第、磁場強度の異なる複数のMR装置を対象として補正効果の実証研究を開始する予定である。経時解析の最適化は順調に進んでおり、経時的信号むら補正の効果については平成27年度中に論文を投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
ファントムの完成までに時間を要し、補正効果の実証研究の開始が遅れ、平成26年度内の解析用ワークステーションの購入を見合わせたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の上半期に解析用ワークステーションを購入する予定である。
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