2014 Fiscal Year Research-status Report
海外派遣労働者に対する適切な感染症対策の検討-労働者・産業医の視点から
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26870530
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小川 真規 自治医科大学, 医学部, 講師 (70525451)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海外派遣労働者 / ワクチン / 感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、海外派遣の経験を有する労働者を対象にインターネットによる調査を行った。 対象者は、発展途上国に過去5年以内に3か月以上派遣されたことのある会社員200人(男性182名、女性18名)を対象とした。聴取内容は、属性、赴任都市、滞在期間、勤務企業概要、ワクチン接種の詳細、感染症事前教育・感染症情報収集・現地医療機関の情報提供・相談窓口・持参薬の有無、現地での感染歴または可能性の経験、自社の感染症対策への満足度、帰国後のフィードバックの有無などを収集した。 海外派遣経験回数は1回が最多で、派遣期間は6カ月以内が35.5%、6か月超1年以内が19.0%、1年超2年以内が20%であった。業種は製造業が半数を占めた。海外赴任に当たり73%がワクチン接種を勧められており、種類はB型肝炎67.8%、A型肝炎60%、破傷風57.5%、狂犬病56.2%などであった。ワクチン勧奨の有無と派遣期間には関連がなく、企業規模による有意差を認めた。調査したワクチンすべてで7割以上が派遣前に接種を完了しており、完遂率と企業規模との関連はなかった。接種未了者に対し、半数以上が会社から残りの指示があったと答え、A型肝炎を除き、未了者の半数以上が接種を完了していた。未完ワクチン接種指示と会社規模で関連はなかった。 自社の感染症対策への満足度に与える要因では、事前教育の有無、現地医療機関の情報提供の有無、相談窓口の情報提供の有無に有意差を認め、満足度と会社規模、持参薬の有無、ワクチンの推奨の有無との間に有意差は認めなかった。事前教育理解度では、年齢による差は認めず、理解度と役立ち度との間に関連を認めた。 海外派遣労働者は、事前教育、現地情報、相談窓口に高い満足度を感じており、派遣前の教育、情報提供は有用と考えられる。また事前教育は理解度と役立ち度に関連があり、理解度を確認しながら行うことがより効果的と思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、海外派遣労働者を対象とした調査を計画していた。 出現率が低いことが予想されたが、200-300サンプル収集の予定のところ200サンプル収集できた。またインターネット調査の特性である欠損値がほぼないデータが収集できた。 そのため、おおむね計画通りの進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は予定通り申請者が自施設で行っている産業医研修会に参加する医師を対象に調査を行う。調査は無記名自記式アンケートで行い、海外派遣労働者に必要な感染症対策に対する知識のレベルを調査する。 具体的には、専門領域、経験年数、コンサルテーションを受けたときの自信度、途上国派遣労働者に対して事前教育の必要性の有無及び教育すべきと考える感染症、国別必要と思われるワクチン種の選択、情報源への入手先が分かるか否か、A・B型肝炎、破傷風、狂犬病、黄熱病、日本脳炎、ポリオ、インフルエンザ、腸チフス、髄膜炎菌といった感染症の頻度、重症度の理解、の調査を行う。 目標として100を目指す。
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Causes of Carryover |
インターネットアンケート費用が想定より安くなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度実施予定の医師向けアンケート調査に要する費用に充てる。 謝礼、消耗品(用紙、プリンターインク、筆記具、封筒など)購入費用の一部として使用する。
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