2015 Fiscal Year Research-status Report
海外派遣労働者に対する適切な感染症対策の検討-労働者・産業医の視点から
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26870530
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小川 真規 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70525451)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海外派遣労働者 / ワクチン / 感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本医師会認定産業医研修会に参加した医師120名にランダムに自記式アンケート配布した。質問項目は、『属性』、『日常業務における途上国赴任予定労働者からの相談の有無』、『日常業務における途上国赴任予定者に対する感染症に関する指導の有無』、『途上国赴任に際し推奨するアドバイス項目』である。うち医師93名から回答を得、経験2年目以下の研修医、未回答が多いものを除いた77名を集計した。 回答者のうち、日常業務において途上国派遣予定者から何らかの相談を受けたことが有る医師は18名(23.4%)と少数であった。相談経験の有無と医師経験年数との関連では経験年数に差はなかった。また相談の大半が、現疾病フォローもしくはワクチンについての相談であった。日常業務における途上国派遣予定者に対する感染症に関する指導経験は14名(18.2%)で、指導はしたものの1人を除き自信がなかったと回答した。また指導経験がない医師においては9割以上が『自信がない』と回答した。自信のない項目は、『ワクチン関連』、『感染時対応』、『流行状況』に関してのものが多く、感染症事前教育、現地医療情報に類似する内容であった。海外派遣者や企業に対し情報提供をした方がよいと考える項目に関する質問では、『疾病予防教育』、『体調不良時の相談体制』、『感染症流行状況』、『ワクチン接種について』で多くの医師が強く推奨と回答した。 海外派遣労働者は、感染症事前教育、現地医療情報、健康相談窓口情報を得ることで自社の感染症対策に対し有意に高い満足度を得ることが本研究で示されている。しかし、認定産業医の認識は、これらは教育、周知すべきであるとの認識度は高いが、大半に自信がないことがうかがえる。今後一般的な感染症の知識のみならず、渡航医学についての知識も産業医には必要と思われる。また、認定産業医養成においてこれらの教育が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、海外派遣労働者に対し衛生教育を行う立場となりうる産業医(資格獲得を目指す医師)を対象に調査を行った。 目標数100に対し、当初77サンプルであったが、年度末に42サンプルの追加ができ、計119サンプルの収集ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
年度末に行った42サンプルを追加した再解析を行う。また、同時に聴取した感染症一般に関する知識についての解析も行う。 これらの結果を統合し、学会、論文等で発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初最終年度に予定していた国際学会での発表を今年度行ったため、予算の前倒しを行った。前倒し請求が10万円単位であり、実費との差額が次年度に繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度請求分と合わせ、未解析分のデータ解析にかかる費用、参考文献購入費用、論文投稿の際の英文校正料、投稿料、学会発表旅費等に用いる予定である。
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Research Products
(2 results)