2015 Fiscal Year Research-status Report
戦略的業績評価システムによる戦略修正メカニズムの解明
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26870538
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
奥 倫陽 東京国際大学, 商学部, 准教授 (50551652)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 戦略修正 / バランスト・スコアカード / 戦略的管理会計システム / 業績評価システム / 撤退基準 / 進出基準 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、文献研究を主たる研究方法として戦略修正における管理会計システムの役割について研究した。戦略修正を効率的かつ効果的に行うには、戦略修正の必要性を適宜、経営者や管理者に対して注意喚起するシステムが必要である。しかし、これまでの研究では、管理会計の視点から、戦略修正の注意喚起システムについて十分に研究され解明されてきたとはいえない現状があった。そこで本年度における研究では、まず、戦略修正を決定する要因について分類基準を示し分類化し体系化した。この分類基準とは、企業がさらなる成長を狙うために行う積極的な戦略修正と経営危機や事業の失敗などによって既存の戦略を修正せざるを得ない場合に行う消極的な戦略修正という基準、そして、戦略修正を行う要因が企業内部による要因もしくは企業の外部環境によって生じる要因かという基準からなる。この体系化によって、戦略修正に行う際の管理会計システムの役割をより明確に捉えることが可能になった。本年度は、以上の体系に基づき、具体的な戦略修正を注意喚起するシステムとして、事業撤退を決定する撤退基準や新規事業を採用する際の基準である進出基準などを取り上げ、それらのシステムが戦略と関連付けられることにより、戦略修正の注意喚起情報を経営者や管理者に提供することが有効であることを明らかにした。また、戦略を策定する際に経営環境の分析で利用された評価基準を継続的にモニタリングすることが戦略修正を行うべきか否かを決定する場合においても有効であることを明らかにした。さらに、実証研究に向けた戦略修正に向けた管理会計システムの理論的な枠組みを示すことができたことで、今後の研究をより効率的に進めることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の進捗状況は、やや遅れていると認識している。本年度は、海外において文献データベースおよび海外文献の文献調査を行うことに力点を置いた。そのため、当初予定していた実証研究に関連した取り組みが十分に行うことができなかった。しかし、本年度の研究において理論構築が十分に行えたことにより最終的には当初計画した研究成果を享受することができると考えている。したがって、現段階で研究の進捗状況はやや遅れているが、研究進捗の遅れに伴う研究成果には影響がないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後において、これまでの理論研究に基づいて実証研究を行う。実証研究は、文献研究を通して、これまでの理論研究を補完しながら実施する予定である。また、実証研究を効果的かつ効率的に行うために、実務家の助言等を参考にしながら研究を推進していく。さらに、学会報告等を通して、積極的に広く本研究の研究成果を広めるとともに、広く本研究に関する意見を求めることにより効果的な研究を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は、海外において、文献データベースおよび既存の文献に基づいて、文献研究を中心に研究を行った。そのため当初、利用予定であった次年度使用額において未利用分が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画として、文献研究、アンケート調査およびインタビュー調査の費用支出を計画している。また、研究成果の妥当性および頑健性を担保するために、複数回のアンケート調査およびインタビュー調査を予定する
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Research Products
(1 results)