2015 Fiscal Year Research-status Report
戦間期イギリスの国際博覧会におけるジェンダーと帝国
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26870552
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
佐藤 繭香 麗澤大学, 外国語学部, 准教授 (60433877)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 帝国 / ジェンダー / 博覧会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、戦間期にロンドンとグラスゴーで開催された大英帝国博覧会を主に取り上げ、その展示に表象される女性像を分析することによって、1920年代始めには全世界の4分の1を支配するといわれたイギリス帝国が、女性をどのように帝国の中に取り込もうとしていたのか、イギリス帝国を維持する上でジェンダー観をどのように構築し、使用したのかを明らかにすることである。 今年度は、前年度に行なった海外出張で収集した資料の整理や精読を主に行なった。これにより、大英帝国博覧会がどのように企画され、『タイムズ』紙や『デイリー・メイル』紙などで、大英帝国博覧会がどのように報道されているかについて知る事ができた。大英帝国博覧会が女性雑誌などでどのように報道されているかを調査するために、8月には一橋大学図書館にある女性雑誌『イヴ』などを読み込んだ。同時に、2016年10月に行なわれる「デザイン史とデザイン研究に関する国際学会」での研究報告の準備を進めた。その前段階として、3月には津田塾大学言語文化研究所「都市・女性・モダニティ研究会」で、研究報告を行なった。インドやエジプトでのナショナリズムの盛り上がりやアイルランドの独立など、イギリス帝国は解体の危機にあった1920年代において、大英帝国博覧会は、本国の求心力を高める狙いがあり、大英帝国博覧会で展示されたイギリス女性たちが、イギリス本国の優越性を示すための表象として使用されたことがみえてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
役職者としての校務が予想以上に忙しく、計画をしていた英国への資料調査を行なうことができなかったことが、研究が遅れている大きな要因である。日本でできる範囲の資料収集は行なったが、研究に必要な資料の収集が英国で十分にできなかったために、研究が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
8月には、今年度行なうことができなかった海外出張をし、1938年に開催されたグラスゴーでの大英帝国博覧会に関する史料を収集したい。また、初年度に行った海外出張で収集できなかった資料の存在も明らかになったため、そちらの方にも目を通したいと考えている。そして、今年度は、1938年と1924年、25年の大英帝国博覧会との違いもみていくつもりである。これまで収集した史料分析を進め、研究をし、研究の遅れを取り戻すとともに、学会誌に投稿する予定である。10月には、台北で行なわれる「デザイン史とデザイン研究に関する国際学会」で研究報告を行なう。
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Causes of Carryover |
今年度の8月に予定していた10日間の英国への海外出張を、校務などの関係で行なうことができなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、今年度行なうことができなかった史料収集のための海外出張を行なう予定である。また、10月には、台湾での学会発表の旅費として、主に研究費を使用させていただく予定である。
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