2014 Fiscal Year Research-status Report
運動・食餌制限による肝臓脂肪蓄積予防効果―脂肪組織を介した新規メカニズムの検討―
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26870553
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
黒坂 裕香 和洋女子大学, 生活科学系, 助手 (30633002)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脂肪肝 / 肥満 / 運動 / 食事制限 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,主に,実験動物の飼育とサンプリング,肝の脂肪含有量および血中の一般検査項目の測定などを行い,食餌制限と運動が肥満病態や脂肪肝に及ぼす影響を,生理学的,組織学的手法において検討した.また,脂肪組織の形態学的な観察を実施し,脂肪肝と脂肪細胞サイズの関連を検討した. 1.実験動物の飼育・サンプリング:実験動物は,6週齢雄性Zuckcr Leanラット(ZLラット)およびZucker Fattyラット(ZFラット)を用いた.ZLラッ卜を①対照群,ZFラットを②肥満群,③食餌制限群,④食餌制限+運動群に群分けし,6週間飼育を行った. 2. 血中成分分析・脂肪肝の評価:血液生化学分析を行い,肥満の基本的な病態の出現を各群で比較し,評価した.肥満群と食餌制限群は,血中トリグリセライド・レプチン・遊離脂肪酸等が高値であり,脂質代謝の異常が観察された.また,肝トリグリセライド含有量の測定や顕微鏡観察においても,肥満群と食餌制限群で肝脂肪蓄積が進行している様子が観察された.一方,食餌制限+運動群は,これらの血中や肝の値が進行しておらず,運動の実施が脂質代謝異常や脂肪肝の進行を抑制した可能性が示唆された. 3.脂肪組織の形態学的観察:脂肪組織の光学顕微鏡観察を行い,各群の脂肪細胞の形態学的な特徴や脂肪細胞の大きさを評価した.対照群に比較すると,肥満群,食餌制限群,食餌制限+運動群は有意に肥大していたが,食餌制限+運動群は肥満群,食餌制限群に比較すると有意に肥大が抑制されていた.これらの結果から,習慣的な運動によって脂肪細胞の肥大化が抑制されたことが,肝脂肪蓄積の抑制に関与した可能性が考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画おける平成26年度の実験は終了し,現在,平成27年度に予定している実験に関しても着手しており,概ね計画通りに進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,平成26年度の結果を踏まえ,各群の肝と脂肪細胞の分子生物学的な分析を行い,肝脂肪蓄積・脂肪分解メカニズムの検討を行う. 1.食事制限と運動による肝脂質代謝亢進・抑制メカニズムの検討:ウェスタンブロッド法により,肝の脂質代謝系因子(DGAT2, FAT/CD36, FAS, CPT1, ADRPなど)やミトコンドリア機能に関わる因子(COXIV, PGC1など)を検討し,肝臓内で生じている脂質代謝の亢進,抑制メカニズムを明らかにする. 2.食餌制限と運動が脂肪細胞サイズに及ぼす影響に関するメカニズムの検討:ウェスタンブロッド法により,脂肪組織における脂肪細胞の分化(PPARγ,C/EBPファミリーなど),肥大化(MCP-1,CCR2など)に関する因子を検討し,組織学的分析の結果と合わせて考察する.また,各群の脂肪組織の脂肪蓄積予備力を評価するため ,脂肪細胞の代謝関連因子(FAS, DGAT2, ADRP, FAT/CD36など)の分析を実施する. 3.追加実験・解析:実験の補足や失敗などで生じたデータの欠損を埋めるための追加実験及び解析を実施する. 4.結果のまとめ・成果発表:得られた結果から「脂肪組織の脂肪蓄予備力」を評価し,運動食餌制限による肝脂肪蓄積予防効果として,脂肪組織を介したメカニズムについて考察する.本研究課題の結論を導き出し,成果発表を行う.
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Causes of Carryover |
3月に予定してた論文掲載料の支払いが遅れため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に平成27年度4月に,予定していた通り論文掲載料として使用済みである.
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Effects of habitual exercise and diet restriction on the expression of hepatic carnitine palmitoyl-coa transferase-1 in zucker fatty rats2014
Author(s)
Kurosaka, Y., Kitamura, H., Yamauchi, H., Shiroya, Y., Nanba, H., Minato, K.
Organizer
19th Annual Congress of the European College of Sport Science
Place of Presentation
Amsterdam RAI Convention Centre (Amsterdam)
Year and Date
2014-07-02 – 2014-07-05