2017 Fiscal Year Research-status Report
筋萎縮に対する鍼通電療法の臨床応用に向けた基礎研究
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26870555
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
池宗 佐知子 帝京平成大学, ヒューマンケア学部, 助教 (80571166)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 鍼通電刺激 / 刺激周波数 / 筋線維タイプ / 筋力 / 血中乳酸濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の高齢者人口の増加に伴い、高齢者は骨格筋の筋力低下を有しその結果介護を必要となる人の増加が予想される。筋力の低下は、転倒を引き起こす要因のであり、転倒を主とし介護が必要となる場合も多くみられる。近年、介護を取り巻く仕組が大きく変化し、地域で患者をケアしていく地域包括ケアシステムが構築された。この取り組みの中で、鍼灸師の果たす役割も大きくなりつつある。 鍼灸刺激に関する多くの研究が、自律神経、疼痛、筋緊張に対するものであり、鍼刺激そのものが骨格筋に与える影響を検討した研究は少ない。しかしながら、筋緊張緩和や疼痛軽減のみならず鍼刺激が骨格筋の筋力維持や筋萎縮抑制に影響できると考えており、本研究においては、臨床応用可能な刺激について明らかとすることを目的としている。 我々は、これまで上腕二頭筋に対する鍼通電刺激の影響を刺激周波数や刺激時間を中心に検討してきた。しかしながら、高齢者の転倒は上肢の筋力低下によるものではなく、下肢の筋力やバランス能力に影響される。そこで、平成29年度は上肢の上腕二頭筋への影響だけでなく、下肢(下腿)の筋である下腿三頭筋と前脛骨筋に対する鍼通電刺激を行い、その影響を検討した。上腕二頭筋と前脛骨筋は速筋線維であり、上肢と下肢での刺激による変化の有無について検討した。その結果、筋力や血中乳酸濃度を指標とした場合、上下肢の変化に差はなかったものの、下肢への刺激が不快感を顕著とした行った。また、現在、前脛骨筋と下腿三頭筋への影響について検討している。これは、筋線維タイプの構成が速筋が主体となる前脛骨筋と遅筋が主体となる下腿三頭筋との反応特性をみるために実施している。これにより、速筋線維、遅筋線維への鍼通電刺激の有用性が示せる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究成果を踏まえ、下腿の筋線維タイプの異なる筋への影響を検討している。しかし、十分な被験者数の確保に至っておらず、継続した研究実施が必要である。さらに、生化学評価実施予定であったものの、測定が終わっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、まず、速筋線維タイプへの鍼通電刺激と遅筋線維タイプへの鍼通電刺激の反応現象をとらえるため下腿三頭筋と前脛骨筋での測定を継続して行う。対象者数を10~20名募集し、実施する。この際、鍼通電刺激の刺激周波数は1Hzと100Hzに限定して行う。 下腿の筋力測定装置を用い、1回の鍼通電刺激による筋力の変化や不快感など自覚指標を評価し、臨床応用可能な刺激周波数であるかを検討する。また、対象者の中からランダムに抽出し、唾液によるサンプルを採取し、鍼通電刺激による生化学変化を併せて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
理由:前年度までの繰越の影響があり、年度内の使用額は当初の予定を上回っているが、繰越がでた。 使用計画:平成30年度は、生化学実験を追加し実施するためのキット購入と共に、成果報告および論文作成費用として使用していく予定である。
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Research Products
(4 results)