2014 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病食事療法における最も効果のある炭水化物量の決定
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26870556
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
深津 章子 聖徳大学, 人間栄養学部, 講師 (10709778)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 食事療法 / 炭水化物 / セカンドミール効果 / 耐糖能 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病の治療において食事療法は最も基本的な治療法であり、合併症の進展予防に大きな役割を果たす。近年、糖質制限食が注目されているが、その効果や長期的な食事療法としての遵守性や安全性などの重要な点を担保するエビデンスが不足している。本研究では、異なる糖質量の食事を摂取したあとの血糖変動や食欲の変化、食事の嗜好性を評価することにより、糖尿病の食事療法における最適な糖質量および糖質割合を検討した。 健常な成人女性8人を対象とし、クロス・オーバー試験を行った。糖質エネルギー比率は異なるが、エネルギー・食物繊維・塩分量・重量は同等の3種類の試験食;標準食(60E%)、中糖質食(50 E%)、低糖質食(30 E%)を設定した。簡易自己血糖測定器により空腹時血糖値を測定し(0分)、各試験食を摂取した後経時的に血糖値を測定した。引き続き標準昼食を摂取した後にも同様に血糖値を測定した。食後の経時的な食欲の変化と試験食の嗜好性をVisual analog scale(視覚評価法, VAS)を用いて評価した。 低糖質食は食後の血糖上昇を抑制したが、次の食事後の血糖反応に負の効果を示した。これは、朝食時に摂取した大量の脂質が4~5時間後に血糖値上昇を起こしたか、増加した遊離脂肪酸によるインスリン抵抗性によるものと考えられた。嗜好性や食欲の点でも、低糖質食が他の2食に比べて有利とはいえなかったことから、30E%の糖質制限を長期的に継続することは慎重にすべきと考えられた。 今後は、長期間継続できる効果的で安全な糖質量および脂質との関連を調べるために食事負荷試験をさらに実施する。その結果から作成した栄養指導処方箋に基づき栄養指導介入試験を行い、糖質制限食の効果を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭水化物割合の異なる数種の食事(試験食)を摂取した後の血糖変動と食欲を評価した。計画していたインスリンや遊離脂肪酸の評価は実施できなかったが、計画になかった「試験食の次の食事後の耐糖能に及ぼす効果(セカンドミール効果)」を評価して、非常に興味深い結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)平成26年度に実施した試験食に加えて、更に数種類の試験食を摂取した後の血糖変動を評価する。 (2)以上の検討から決定した効果と安全性が高いと考えられる炭水化物割合に基づき、栄養指導レシピ(処方箋)を作成する。 (3)糖尿病予備軍の被験者を(2)の栄養指導レシピを指導する群と従来法の糖尿病食事療法を指導する群に分けて指導し、体組成や生化学検査値、指導の遵守度、生活の質等について評価する。
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Causes of Carryover |
血糖値の評価方法を予定していた静脈血から毛細血管採血に変更したため、検査費用と謝金費用が予定より少額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
評価方法の変更により節約できた予算分を、初めの計画になかった更に数種類の試験食負荷試験を実施するために使用する。また、長期栄養指導介入試験の被験者数や観察期間を増加、延長させることに予算を用いて、より充実した研究成果を得る。
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