2014 Fiscal Year Research-status Report
回復期患者に対する電気・磁気脳刺激治療の組合せが麻痺改善に及ぼす運動学的検討
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26870558
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Research Institution | Uekusa Gakuen University |
Principal Investigator |
松田 雅弘 植草学園大学, 保健医療学部, 講師 (40453485)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経頭蓋直流刺激 / 経頭蓋反復磁気刺激 / リハビリテーション / 脳卒中 / 即時効果 / 運動学的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中後の運動麻痺の治療として経頭蓋反復磁気刺激(rTMS)や,経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を用いることで,運動麻痺や高次脳機能障害の改善の一助になることが明らかになっている.運動麻痺に対する効果が期待できるtDCS による研究は近年報告され始めているが, その効果や機序については明らかになっていない.半球間抑制の理論に従い,非病巣側を抑制(陰極)することや,病巣側を促通(陽極)することによって脳内の活動のバランスが改善され,運動麻痺の改善に対して有効である。しかし,運動麻痺の改善について運動学的分析はされていない.そこで,今回脳卒中後の患者を対象にtDCS 前後で上肢パフォーマンスの変化について検討した.対象は初発脳卒中後片麻痺患者5 名(平均年齢65.4 歳;55~81 歳,右片麻痺1 名,左片麻痺4 名,全員右利き,上肢麻痺の程度stageV,手指麻痺の程度IV~V)とした.対象にはtDCS(NeuroConn GmbH 社製)を利用して,1mA の直流電流を非病巣側運動野に陰極,病巣側運動野に陽極をフェルトパッド製電極(5×7cm)を貼付した.対象者には安楽な座位をとらせ,20 分間刺激を与えた.また,同様の設定で電流が最初にだけ流れるSham(偽)刺激を1 週間以上あけて行った.刺激前後での評価は,tDCS,Sham 刺激前後に,上肢パフォーマンステストとしてBox&Blockテスト(BBT)と運動分析を実施した,BBTではtDCS 刺激前31.8±7.7 個から刺激後35.2±8.4 個となり,sham 刺激前33.0±8.5 個から刺激後34.0±8.7個となり,tDCSの刺激時に有意な変化がみられた.運動分析の結果,運動範囲について著明な変化はみられなかった.このように,tDCSの刺激によって麻痺側上肢のパフォーマンスが即時的に変化することが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在,経頭蓋反復磁気刺激(rTMS)と経頭蓋直流刺激(tDCS)の効果検証を実施している.しかし,病院における協力可能な対象者数が少なく,当初の予定の対象者数が集まっていない.引き続き、対象者を募集して,研究の協力を得て即時効果の検証を進めるとともに,同時にrTMSとtDCSの脳刺激の併用効果に関しても同時進行していく.
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Strategy for Future Research Activity |
両脳刺激とも即時効果に関して,さらに対象者データの収集を行っていく.また,即時効果の検証を進めるとともに脳刺激併用の効果の検証を実施することで,研究の進行を促進させる.また,脳刺激前後で評価する項目を運動学的分析のみではなく,パフォーマンステストを組み合わせて実施する予定である.脳刺激による効果検証の評価方法を再検討して、脳刺激の効果検証をさらに進めていく.
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Research Products
(5 results)