H.pylori関連免疫性血小板減少症の病態形成および除菌療法効果の機序の解明

2015 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 26870561
• Research Institution: Kitasato University
• Principal Investigator: 佐藤 隆司 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90407114)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: 免疫性血小板減少症 / H.pylori

Outline of Annual Research Achievements

前年度の研究において、免疫性血小板減少症(ITP)患者のFcγRIIB 232I/T(rs1050501)のTアリルがH.pylori除菌療法有効例で多く認められた。そこで、FcγRIIBのSNPがITP病態に与える影響を検討するため、FcγRIIB 232I/T(rs1050501)とITPに特異的な自己抗体である抗GPIIb/IIIa抗体を産生するB細胞数との関連をELISPOT法で検討した。その結果、Tアリルを持たないITP患者と比べTアリルを有するITP患者は、抗体産生B細胞が有意に多く認められた(p=0.03)。また、前年度、ITP患者のH.pylori除菌療法とTPO +24G/A(rs6141)のSNPとの関連を見いだした。そこで、TPOのSNPとITP患者の血漿TPO濃度をELISAで測定したが、TPOの各SNPと血漿TPO濃度との関連は認められなかった。
さらに、TGF-β -509C/T(rs1800469)、TGF-β +869T/C(rs1800473)、Foxp3 -924A/G(rs2232365)、Foxp3 -2383C/T(rs3761549)、Foxp3 -3279C/A(rs3761548)、FCRL3 -169C/T(rs7528684)、BAFF -871C/T(rs9514828)のSNP解析を行った。その結果、TGF-β -509C/TのTアリルがITP患者のH.pylori除菌療法有効例で多く認められたが(p=0.045)、その他のSNPはH.pylori除菌療法との関連は見いだされなかった。そこで、TGF-β -509C/TとITP患者のTGF-β濃度との関連を検討するため、ELISAでTGF-β濃度を測定した。その結果、TGF-β -509C/TのTアリルを有するITP患者ではTGF-β濃度が低い傾向が見られた。
以上の結果から、FcγRIIB 232I/TおよびTGF-β -509C/TのSNPは、H.pylori関連ITPの病態形成に関わる可能性が示唆された。