2014 Fiscal Year Research-status Report
肥満マウスを用いた高分子ポリフェノール摂取による肥満改善効果の検討
Project/Area Number |
26870565
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
升本 早枝子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所 栽培・流通利用研究領域, 研究員 (30596052)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロシアニジン / 高分子ポリフェノール |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、試料となる高分子ポリフェノールをリンゴより抽出した。常法に従い、りんご果汁から調製したプロシアニジン画分を順相クロマトグラフィー法を用いて重合度別に1~4量体までの低分子プロシアニジン画分と、5量体以上の高分子画分に分離し、これを試料とした。 次に、4週齢のC57BL/6Jマウス(雄)に高脂肪高ショ糖食を摂取させ、食餌性肥満マウスを作成した。C57BL/6Jマウスに高脂肪高ショ糖食を3ヶ月間摂取させた。また、普通食モデルには、低脂肪・無ショ糖食を摂取させ、食餌性肥満マウス同様に3ヶ月飼育した。肥満が進行すると高血糖や脂質異常などメタボリックシンドローム様の症状の他、脂肪組織への脂質の蓄積が認められる。また脂肪肝が進行すると、酸化ストレスや炎症反応により肝障害を発症する。3ヶ月の飼育終了後、食餌性肥満マウスおよび普通食マウスから無作為に数匹選別し解剖を行ったところ、食餌性肥満マウスは、普通食を摂取させたマウスと比較して体重過多である事に加え、安定的に高血糖、高脂血症(高トリグリセリド血症、高コレステロール血症)、脂肪肝を示した。そこで、以後高脂肪高ショ糖食を摂取したマウスを「食餌性肥満マウス」として使用した。 次に、食餌性肥満マウスを①コントロール食(普通食)群、②高脂肪高ショ糖食群、③高脂肪高ショ糖食+高分子ポリフェノール群、④高脂肪高ショ糖食+低分子ポリフェノール群、⑤高脂肪高ショ糖食+高分子・低分子ポリフェノール群の5群に分け12週間飼育した。12週間飼育後、解剖を行い、各種臓器・脂肪・血液等を採取した。以後、体重・血糖値・血中脂質(トリグリセリド・中性脂肪・NEFA)の測定、血漿中の肝機能マーカー(GOT,GPT、γ-GTP)の測定、血漿中のアディポサイトカインの測定などを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はマウスに投与する高分子および低分子ポリフェノール試料の抽出および食事肥満マウスの作成を行った。高分子・低分子ポリフェノールの抽出は、マウスに投与するのに必要十分量の抽出が終了した。また、食餌性肥満マウスの作成においても、体重および血中脂質・糖を安定的に高値を示し、肝臓への脂肪蓄積も認められ、以後の肥満改善効果検討の試験に使用できる食餌性肥満モデルマウスの作成に成功した。 現在は、食餌性肥満モデルマウスに高分子および低分子ポリフェノールを投与し、肥満改善効果について検討を進めている。当初の計画どおりに概ね進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は食餌性肥満モデルマウスを①コントロール食(普通食)群、②高脂肪高ショ糖食群、③高脂肪高ショ糖食+高分子ポリフェノール群、④高脂肪高ショ糖食+低分子ポリフェノール群、⑤高脂肪高ショ糖食+高分子・低分子ポリフェノール群の5群に分け飼育中である。今後は、体重・血糖値・血中脂質(トリグリセリド・中性脂肪・NEFA)の測定、血漿中の肝機能マーカー(GOT,GPT、γ-GTP)の測定、血漿中のアディポサイトカインの測定などを行う。また摘出した肝臓の組織標本を作製しHE染色により、肝臓への脂肪蓄積状態を組織学的に評価する。解剖後摘出したマウスの肝臓および脂肪組織からRNAを抽出し、定量Real-timePCRを行う。肝臓組織における薬物代謝酵素(Cyp2e1,iNos)、細胞周期制御因子(Cdkn1a)、炎症関連因子(Tnf-α, IL-6)、脂質合成因子(Srebp1c, Fas, Cyp7a1, HMG-coa)、脂質代謝制御因(Ampk, Cpt, Ppar-α)、抗酸化関連酵素(Cat, Sod)および脂肪組織におけるアディポサイトカイ(Adiponectin, Leptin, Tnf-α, IL-6など)脂質代謝制御因(Ampk, Cpt, Ppar-γ)、抗酸化関連酵素(Cat, Sod)などをELISA法や定量Real-Time PCRにより詳細な作用機序を解明。解剖後摘出したマウスの小腸組織を用い、DPP4活性の測定を市販のDPP4活性測定キットを用いて行う(コスモ・バイオ株式会社)。また小腸組織中のRNAを抽出しDPP4および糖輸送体であるGLUT2およびSGLT1の遺伝子発現変化を解析する。さらに、採取した血液中のGPL-1濃度をELISA法を用いて測定する。
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