2014 Fiscal Year Research-status Report
児童養護施設における性的問題の実態と対応に関する調査研究
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26870566
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
石川 智 杏林大学, 医学部, 助教 (70580562)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会福祉関係 / 子ども福祉 / 児童養護施設 / 臨床心理学 / 性的問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
児童養護施設で生じる性的問題は、タブーとされがちなこれまでの風潮も手伝い、対応困難なものとなっているが、その実態はまだ明らかにされていない。これまでの研究からは、施設における性的問題の蔓延は、家庭で性的虐待を受け入所した児童の性的トラウマの再現性によるものと、施設に伝統的に引き継がれてきた性を介した支配―被支配の文化によるものとが混在した状況下で生じていると指摘されているが、臨床経験に基づいた指摘であり、調査による裏づけが必要である。 本研究では、①申請者が2009年に実施した性的問題に関する実態調査の追跡調査を実施し、その結果を踏まえて②全国的規模での調査および③典型的施設へのインタビュー調査を実施するることにより、児童養護施設における性的問題の実態を多面的・実証的に検討していくことを目的とする。 本年度は、①の追跡調査実施にあたり、過去の調査における調査方法および調査結果の詳細を研究協力者と検討した。検討の結果、実態に即したデータを収集するためには、発生した性的問題の件数をカウントする基準や性的問題内容の分類方法をより厳密なものにする必要があること、発覚の経緯や問題の規模などによってタイプを分けてカウントすることにより得られるデータの信頼性を担保する必要性あることなどが明らかとなった。先行研究や、教育現場におけるいじめ調査等を参考にしながら、検討結果を踏まえたアンケートを作成し、協力可能施設において試験的に調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究において実施する調査は、施設における性的問題という、対象施設にとって、スキャンダルとして扱われてしまう不安が伴う内容を調べようとするものである。したがって、調査にあたり、手法や内容の厳密さ・透明性、得られるデータの信頼性などには慎重さが求められる。現状として、調査実施の準備により時間をかける必要があると判断し作業を進めた結果、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
試験的に実施した調査結果を整理し、細かな修正を行ったうえで研究目的①の追跡調査を実施する。②については、本年度の検討を踏まえ、①において実施したデータの厳密性重視の手法とは異なった、大規模調査としての位置づけを持たせアンケート作成を進めていき、本年度内の実施を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度内には本調査を実施することができなかったため、調査準備のための経費は生じたが、実施のための経費は生じなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において、本年度に実施する予定だった調査を実施するため、実施に伴う物品や人件費、旅費が生じることになる。また、関連学会での発表も行うため、そのための経費が生じる。
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