2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of Temperature Distribution in Nanoscale Electron Devices
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26870574
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 綱己 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 訪問助教 (60724838)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フォノン / バリスティック輸送 / ナノワイヤ / 自己加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,ナノスケール半導体の熱物性の理解に基づき,トランジスタや分子センサ,熱電素子などの,熱特性が重要となる電子デバイスの設計指針を示すことを目指している.近年,ナノスケールの半導体では熱キャリアであるフォノンがバリスティックに輸送しており,通常用いられるフーリエ則では温度を正しく見積もれないことが見出された.このような状況の下,本年度はシリコンナノワイヤの熱物性にバリスティック輸送が与える影響を調べた. 3ω法によって様々な長さのシリコンナノワイヤの熱伝導率を測定したところ,ある長さ以下のナノワイヤでは熱伝導率が増加する現象が観測された.この熱伝導率の増加量は既報のフォノンのバリスティック輸送モデルからは説明できず,電子-フォノン散乱で生成されたフォノンが熱輸送を担う,自己加熱効果特有の現象であることが明らかになった.この結果は,ナノ半導体の熱物性測定に一般的に用いられるサーマルブリッジ法やサーモリフレクタンス法では,自己加熱効果で発熱するナノ電子デバイスの温度を正確に得られないことを示唆する重要な結果である. 本研究課題では,主に1)ナノスケールトランジスタ動作温度の測定と熱解析による素子温度分布の解明,2)ナノスケールで支配的になる異種材料界面の熱抵抗の測定,3)自己加熱時のフォノンのバリスティック輸送特性と熱物性の測定を行った.これらはいずれもナノスケールの半導体電子デバイスの熱特性評価に不可欠な知見であり,将来の低消費電力化や高信頼・高性能化に大変有用である.
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Research Products
(2 results)