2015 Fiscal Year Annual Research Report
スパース正則化モデルによる神経回路の光計測データからの信号抽出
Project/Area Number |
26870577
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
竹川 高志 工学院大学, 情報工学部, 准教授 (50415220)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カルシウムイメージング / スパイク時系列 / モデル推定 / 大規模最適化問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,実験技術が向上し多数の神経細胞の活動を高い時間及び空間解像度で大規模に光計測することができる様になった.この計測技術の進歩を神経科学の発展に十分に活用するために,観測データから細胞位置とスパイク時系列を自動的に推定するセルソーティング手法の確立が望まれている.本研究では,高精度で広く利用可能なセルソーティング手法の開発と実装を行った. セルソーティングにおいては,細胞位置の抽出とカルシウムの増減から個々のスパイク時刻を推定の2つの要素があるが,この2つを分離して細胞位置を抽出して単一の細胞の位置情報のみからカルシウム濃度の増減を得ると,2次元画像上での細胞位置(ROI)に重なりがある場合別の細胞の活動を誤って含んでしまう.このことは,神経回路において同期したスパイク活動が重要な情報表現となて散る可能性などを考えると,その後の解析において重大な誤りを導く危険性がある. ROI の重なりを考慮するために,幾つかのモデルベースの手法が提案されており,多くはカルシウム濃度変化の非負性を利用している.しかし,カルシウムイメージングでは観測値が相対値として得られるためにベースライン(零点)を正しく推定する必要があり,この点においてまだ十分な解決がなされていなかった. 本研究では,比較的シンプルな基本モデルに対してデータに関する知識を事前確率として適切に導入することでベースラインと細胞の活動を同時に推定できる性質の良い定式化を行った.また,最新の数値計算の手法を組み合わせて,最終的に大規模な最適化問題となる数値解法を高速に処理するアルゴリズムを実装した.
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