2015 Fiscal Year Research-status Report
神経膠腫による言語機能障害発症メカニズムの解明:脳機能イメージング法による研究
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26870582
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
金野 竜太 昭和大学, 医学部, 講師 (70439397)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経膠腫 / 脳内ネットワーク / 機能的結合性 / functional MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は神経膠腫による言語機能障害発症メカニズムの解明である。平成27年度は、左前頭葉の神経膠腫が脳内ネットワークの機能的結合性に与える影響を明らかにするために,神経膠腫患者のfMRIデータの時系列に関する偏相関解析を行った。その結果,神経膠腫の存在により脳内ネットワークの機能的結合性が乱れることが明らかとなった。興味深いことに,この影響は神経膠腫存在部に限定されず,ネットワーク全体に及ぶこと,すなわち,ネットワーク全体の機能的結合性が乱れることが明らかとなった。更に,この影響は左下前頭回弁蓋部や左運動前野外側部以外に神経膠腫がある患者群,すなわち,行動データ上は明らかな統辞的文理解障害を呈さない患者群においても認められた。統辞的文理解障害が明らかではない患者群の機能的結合性を詳細に検討すると,左前頭葉を中心とした機能的結合性が保たれていることが明らかとなった。この知見は,左前頭葉を中心としたネットワークが統辞処理の機能維持にとって重要であることを示唆する。以上より,左前頭葉の神経膠腫により脳内ネットワークの結合性が障害されることが言語機能障害、特に、統辞的文理解障害の発症に関与することが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標は神経膠腫による言語機能障害発症メカニズムの解明である。平成27年度は、左前頭葉を中心とした脳内ネットワークの機能的結合性が障害されることが、神経膠腫患者の言語機能、特に、統辞的文理解障害の発症に関与することが明らかとなった。本成果は国際学会での発表、国際誌への論文発表という結果に結実し、当初の計画通りに進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの知見により、言語機能障害において脳内ネットワークの機能的結合性の変化が重要であることが明らかとなった。28年度は、神経膠腫などの占拠性病変のみならず,前頭側頭皮質変性など特徴的な言語機能障害を呈する変性疾患を対象とした神経心理学的検討を推進する。変性疾患を対象とした神経心理学的検討やSPECTなどを用いた脳血流評価は,ネットワークの機能解明に重要な知見をもたらすとされる。統辞的文理解に関する脳内ネットワークの解明に大いに役立つと考えられる。
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Causes of Carryover |
当初の計画と比べて、オープンアクセスにかかる費用などその他の費用は増えたものの、物品費を中心に他の費用を抑えることができたため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の成果報告にかかる論文のオープンアクセスにかかる費用、国際学会発表にかかる費用に充てる予定である。
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Research Products
(8 results)