2014 Fiscal Year Research-status Report
架橋液晶高分子と非晶高分子の複合化による光エネルギー変換材料の新展開
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26870592
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宇部 達 中央大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (80613364)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 液晶高分子 / 相互侵入高分子網目 / フォトクロミック分子 / 高分子アクチュエーター / 分子鎖運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
架橋液晶高分子は,熱・電場・光などの外部刺激によりマクロな変形を引き起こすことができる新規材料として注目されている。これまでの研究において,架橋アゾベンゼン液晶高分子(PAzo)にメタクリレート系高分子を導入して相互侵入高分子網目(IPN)構造を形成することにより,材料の光応答性や耐久性を向上させることが可能であることを見いだした。とくに,ポリドデシルメタクリレート(PDDMA)を導入すると,光屈曲特性が飛躍的に向上することが分かっている。本年度は,IPN型架橋液晶高分子における光応答性向上メカニズムの探究を行った。紫外光照射下におけるアゾベンゼンの配向度の時間変化を評価したところ,ポリメチルメタクリレート(PMMA)を導入した場合は配向変化速度が低下したのに対し,PDDMAを導入した場合は第二成分を導入しない場合と同程度であった。次に伸長試験によりフィルムの弾性率を評価した。PMMAとIPN化すると弾性率が増大したのに対し,PDDMAとIPN化すると第二成分を導入したにも関わらず弾性率が減少した。このことは,ガラス転移温度が低いPDDMAとIPN化することにより第一成分のPAzo鎖の運動性が増大することを示している。以上の結果から,PDDMAとのIPN構造形成による屈曲速度の向上はフィルムの弾性率の減少に起因することが明らかになった。また,IPN化により各成分の分子鎖の運動性が変化するため,光に反応しない成分との複合化によっても光応答性の制御が可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アゾベンゼンの配向変化測定およびフィルムの力学試験により,当初の目的であった光応答性向上メカニズムの解明を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
IPNフィルムの相分離構造を観測し,分子鎖レベルでの各成分の混合状態を評価することにより,ミクロな構造とマクロな光応答性との相関を明らかにする。また,これまでに検討した疎水性ポリメタクリレートに加え,親水性高分子や機能性高分子を用いたIPNを作製することにより新たな性能・機能を付与する。
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Causes of Carryover |
相分離構造評価のために高性能AFMカンチレバーを購入する予定であったが,本年度は従来のカンチレバーを用いた予備検討にとどまったため,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
AFMカンチレバーを購入し,相分離構造を詳細に評価する。真空ポンプ,マグネティックスターラー,オイルバス,ホットプレートを追加し,モノマー合成と重合がより円滑に行う。他にも試薬・ガラス器具などの消耗品を随時購入する。また国内外の学会に参加し成果を発表する。
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Research Products
(6 results)