2015 Fiscal Year Research-status Report
大学英語でのCLIL実態調査:多言語主義(マクロ)と談話分析(ミクロ)の視点から
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26870599
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
土屋 慶子 東海大学, 外国語教育センター, 准教授 (20631823)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / スペイン / 応用言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度の海外実態調査及びパイロット研究を踏まえ、H27年度は言語政策に関する文献調査、収集したデータの分析をさらに進めた。前年度より実施しているCLILを取り入れた講義についても継続し、国内外の複数の学会、学術誌にて分析結果の一部を発表した。 マクロ的な分析(多言語主義と言語政策)としては、言語政策に関する調査を継続し、その一端としてBook Reviewを学術誌に発表した。またマドリッド・コンプルテンセ大学での視察も継続し、講義を受講している学部生とその指導者を対象に、CLILに関するアンケート調査およびインタビューを実施した(2016年3月)。日本の大学にてCLILを取り入れた講義の実践を行い、受講した学部生に対してもアンケート調査・インタビューを実施した。CLILを実践している教員へのインタビューを分析した結果の一部を、国内外の2つの学会で発表した。相互交流として、コンプルテンセ大学より、研究協力者であるマリア・ムリーリョ氏を招聘し、日本国内の多言語教育の研究者とともに、早稲田大学にてコロキアムを開催した(2015年12月)。 ミクロ的な分析(学習者間の談話分析)では、CLIL実践の場での学習者間会話(グループあるいはペアによる会話)を録音し、談話・会話分析と、マルチモーダル・コーパスの手法を用いて、談話的特徴の分析を進めた。今回の分析では、左記の2点に注目し分析を試みた:(1)CLIL授業内のグループ・ディスカッションでの、発話者のトランスランゲージ(英語・日本語を発話者の言語レパートリーとして使用すること)の使用、及び(2)CLIL授業内の学生間二者間会話と、一般英語クラスでの学生間二者間会話の会話の修正行為(リペア)の使用について比較。(1)の分析結果を国際誌へ投稿(査読中)、(2)の分析結果の一部を国際語用論学会(2015年7月)にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度の計画通り、これまで収集したデータを元に、マクロ的な分析(言語政策)、ミクロ的な分析(談話分析)を実施し、スペインの大学でのCLIL実践視察・調査、及び日本の大学にてCLILを取り入れた授業実践を継続した。分析結果の一部を、論文に投稿・掲載(2件)、また国内外の学会にて発表した(国際学会:口頭発表1件、ポスター発表1件、国内学会:口頭発表2件、コロキアム開催 1件)。また文献レビューも国際誌に投稿した(1件)。 マクロ的な分析は、概ね予定通り進捗している。両国の大学にてCLILを実践している教員へのインタビュー(2年間合計:日本4名、スペイン3名)、学部生へのアンケート(合計 日本 約80人、スペイン 約 200名)を実施した。教員インタビューの分析結果の一部を学会にて発表し、学生へのアンケート調査のデータの分析を進めている。 ミクロな的な分析は、やや遅れて進捗している。CLILアプローチを取り入れた授業での学生間会話のデータ数が少ない状況である。しかし、これまでに得られたデータを詳細に分析し、CLILでの学習者間会話にみられるトランスランゲージの使用や、CLILと一般英語会話授業での学習者二者間会話時の談話フレームワークの違いについて考察を深めた。 スペインの大学でのCLIL実践視察、および日本の大学でのCLIL実践の導入についても、概ね順調に進捗している。昨年に引き続きH28年3月に、コンプルテンセ大学にて、専門科目の英語による講義を視察(4クラス)した。コンプルテンセ大学では、複数の異なる専門をもつ教員が、共同で英語による講義を実施するなど、新たな試みを行っており、有意義な視察となった。また日本の大学にて、CLIL実践とその検討を継続すると同時に、専門の異なる他学部の先生方との協働によるCLIL講義の導入に向け、検討を始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度には、H26・27年度に収集した学習者間会話データ、及びCLILを実践している教員とCLIL講義を受講している学生への意識調査(アンケート・インタビュー)の分析をさらに進め、研究結果の学会発表と学術雑誌への投稿を行う。 スペインの大学における実態調査及び学術交流を継続し、継続研究プロジェクトのための協力体制について、話し合いを始める予定である。またH27年度に引き続き、研究者間の意見交流のため、海外からCLILの専門家を招聘(スペインとイギリスより1名ずつ(計2名)講師を招聘予定)し、国内の研究者とともに、都内の大学にてコロキアムを開催する予定である(2016年12月開催予定)。 これまで収集した、日本の大学のCLIL実践の場での学習者間会話データの分析を行う同時に、追加でデータ収集を試みる。CLIL授業を受講した学部生へのアンケート調査、フォーカス・グループによるインタビュー調査、教員へのインタビュー調査も継続し、大学でのCLIL実践に対する学習者・指導者の意識調査を進め、日本の大学でのCLIL実践のあり方について考察を深める。 分析した結果の一部を、国内外の学会と学術誌にて発表する予定である。国際学会発表としては、2016年6月にスペインにて開催される第16回スペイン言語教育学会にて、国内学会としては、2016年7月に開催される大学英語教育学会 関東支部大会にて、口頭発表を行うことが決定している。また学習者間会話の分析結果を学術論文として国際誌(Translation and Translanguaging in Multilingual Contexts)に投稿、また編集本(yearbook of corpus linguistics and pragmatics)の章として論文を提出し、共に査読中である。
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Causes of Carryover |
H27年度にコンプルテンセ大学(スペイン)からマリア・ムリーリョ氏、ロンドン大学(イギリス)からトム・モートン氏、2名の研究者の海外招聘を予定していたが、うち1名の予定が合わず、招聘をすることができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度に海外招聘をすることができなかった、トム・モートン氏(ロンドン大学、イギリス)より、H28年度に来日いただき、講演・ワークショップに参加いただくことで了承をいただいている。その招聘のために、次年度使用額を使用する予定である。
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Research Products
(9 results)