2015 Fiscal Year Research-status Report
眼疾患による眼光学系変化から惹起される羞明のメカニズムの解明
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26870605
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
堀口 浩史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (90385360)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 羞明 / 眼科 / 白内障 / 波面収差解析 / 点広がり関数 / 機能的磁気共鳴画像 / 脳科学 / 眼光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
眼疾患により生じる眼光学系の変化は、視覚情報のもととなる光の波長成分の変化のみならず、空間的な要素に対しても強く影響を及ぼす。この変化により羞明がどのように変化するか、眼光学から網膜、脳内における視覚情報処理に注目して問題を解明することが本研究の目的である。 2年目となる平成27年度では、白内障手術の術前術後に焦点を当ててデータの収集を行った。白内障は基本的に加齢により生じる水晶体の疾患である。水晶体は加齢に伴い混濁して、短波長光の透過を抑制していく。そのため、白内障程度が進むと黄色、褐色、茶色と変化していく。白内障手術を施行すると、抑制されていた短波長光の量が増加する。短波長光、つまり青色様の光が強いと羞明が強くなることが知られているが、白内障手術の場合、短波長光の入力が増加するにもかかわらず羞明が解消されることが多い。この矛盾ともいえる点に注目して、網膜への空間的な変化を引き起こす眼光学系の点広がり関数の術前後の変化と羞明の関連についてデータ収集を行った。波面センサーで術前・術後を計測して、またアンケートで自覚的な羞明の程度を評価した。結果は2016年6月の日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)にて報告される予定である。 このような白内障手術で生じる前眼部での大きな波長透過の変化について説明する著書を寄稿した(堀口浩史. 視色素と眼内レンズ. IOL&RS. 29, 7-12, 2015)。さらに脳神経系のネットワークに関して、教科書の章を共著者と担当した(Winawer J, Horiguchi H. (Forthcoming) Visual system architecture. In Handbook of visual optics. Edited by Pablo Artal.)また、色感覚の中枢とも言える後頭葉腹側部に脳梗塞がある患者の視覚野マップに関する草稿を投稿しており、現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
人事異動のにより生じた前年度で遅延したと考えられた水晶体再建術前後のデータ計測に関して、結論を出すのに十分といえる数の計測が完了した。解析はほぼ終了しており2016年6月の学会で報告する予定である。脳科学的側面からのアプローチとしては、羞明に影響を及ぼすと考えられる第4次視覚野損傷を持つ患者の機能的磁気共鳴画像による視覚野の特性に関しての報告を行っているが、羞明に焦点をあてた視覚刺激の作成と実験系の確立が未達成である。よって予定と比較して現在の進捗状況はやや遅延していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータを元に、視覚刺激を作成して機能的磁気共鳴画像法にて脳神経系の賦活を計測していく予定である。 羞明に焦点をあてた視覚刺激の作成と実験系の確立が最終年度の目標となる。前年度で記したように、機能的磁気共鳴画像法による灰白質の機能的評価だけではなく、拡散強調画像法を用いた白質の評価も併用していく。
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Causes of Carryover |
研究計画の遅延に伴い次年度使用に繰り越して使用することとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用として、解析機器の購入、被験者謝金、学会発表に関する旅費および国際誌等への投稿費に当てられる。
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Research Products
(3 results)