2014 Fiscal Year Research-status Report
分娩に関する包括的同意書テンプレートの作成とその有効性の検証
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26870607
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
永田 知映 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, 室長 (70385342)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 同意書 / 包括的同意書 / 産科処置 / 産科的介入 / 分娩 / 出産 / 妊娠 / 産科合併症 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 分娩に関する包括的同意書のテンプレート 分娩時に必要となる可能性がある産科処置・手術(陣痛促進剤の使用、輸血、吸引・鉗子分娩、緊急帝王切開術など)に関する包括的同意書のテンプレートを作成した。実際に使用する各分娩取り扱い施設が、その規模・方針に応じて改変して使用可能なように、内容・構成の工夫を行った。作成の過程では、周産期医療の専門家・医療スタッフの意見に加えて、生命倫理の専門家などのその他の分野の専門家の意見も聴取した。 平成24-25年度に実施した「産婦人科診療ガイドライン-産科編2011」の実施率調査(課題名:「産科医療の質と向上へのヒント-産婦人科診療ガイドライン実施率の観点から-」、研究代表者:永田知映)の結果、著しく実施率が低い診療項目として注目されたのが、産科処置・手術に関する文書によるインフォームドコンセントの取得であった。医療訴訟の頻度の高い産科領域では、これまでの判例にも示されているように、十分なインフォームドコンセントの取得が重要であることは明白である。一方で産科医療の現場を鑑みるに、産科処置・手術が必要な状態になってからでは、インフォームドコンセントを取得する時間的な余裕がないことは想像に難くない。このような中で、今回作成した分娩に関する包括的同意書のテンプレートは、各分娩取り扱い施設が分娩時に必要となる可能性がある産科処置・手術ついて明確に妊婦に説明し、妊婦がその方針を十分に理解したうえで分娩に臨む一助となりうる。 2. 研究実施計画書(研究プロトコール)・同意説明文書・質問紙の作成 分娩に関する包括的同意書の有効性を検証するための研究に関連した、研究実施計画書(研究プロトコール)、同意説明文書、質問紙を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分娩に関する包括的同意書のテンプレート、研究実施計画書(研究プロトコール)、同意説明文書、質問紙の作成にあたって、関連するステークホルダーの意見の聴取と取りまとめに予測された以上に時間を要し、予定していた達成度より若干の遅れを生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に作成した分娩に関する包括的同意書のテンプレートを用い、研究実施計画(研究プロトコール)に沿って、分娩に関する包括的同意書の有効性を検証する研究を実施する。 1. 倫理審査委員会への申請および承認取得:国立成育医療研究センター倫理審査委員会へ申請を行い、承認を取得する。(研究代表者の所属研究機関の変更に伴って、倫理審査実施機関および主たる研究実施機関を国立成育医療研究センターとする。) 2. 分娩取り扱い施設への協力依頼と研究実施施設の選定:近郊の分娩取り扱い施設へ協力を依頼し、研究実施施設を選定する。 3. 研究の実施:包括的同意書使用群と、包括的同意書非使用群で、分娩時に必要となる可能性がある産科処置・手術とそのリスク・ベネフィットに関して、妊婦が医療従事者から説明を受けたと認識している項目、医療従事者からの分娩に関する情報提供に関する満足度、分娩にあたっての安心感などについて調査する。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入を研究計画書通りに実施したが、多少の差額が生じた。また、研究の進捗の若干の遅れに伴い、平成26年度に予定していた謝金の支払いを要しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品の購入にあたって生じた多少の差額に関しては、消耗品の追加購入に際して使用する。また、謝金の支払いに関しては、平成27年度に予定通り実施する。
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