2015 Fiscal Year Research-status Report
多角的なアプローチによる超新星ニュートリノの観測的特徴に関する理論研究
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26870615
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中里 健一郎 九州大学, 基幹教育院, 助教 (80609347)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超新星ニュートリノ / 超新星背景ニュートリノ |
Outline of Annual Research Achievements |
重力崩壊型超新星爆発は重たい星の死であるだけでなく、元素の起源や銀河進化の動力源として重要な意味を持ち、宇宙物理学における中心課題の一つである。将来、近傍の超新星爆発から放出されたニュートリノが観測されれば、謎とされてきた爆発メカニズムの理解が大きく進むと期待されている。一方、過去に起こった超新星爆発から放出されたニュートリノを宇宙背景放射として検出する試みもあり、この超新星背景ニュートリノの検出により超新星爆発の発生頻度や宇宙の星形成史に示唆を与えうると考えられている。そこで本研究課題では、数値シミュレーションに基づく超新星ニュートリノのデータセットを用い、銀河系内の超新星によるニュートリノバーストのイベント数の時間変化と、超新星背景ニュートリノの検出数予測について、系統的な予測を行う。 平成27年度は、近傍超新星からのニュートリノバーストについては水チェレンコフ型検出器においてガドリニウムを添加した場合の粒子識別性まで考慮に入れてイベント数の予測を行った。その上で、平均エネルギーの時間変化は100ミリ秒程度の精度で捉えることが出来るが、統計的な誤差まで考慮すると、角度分布やフレーバー比については時間変化まで捉えることは難しいことがわかった。一方、超新星背景ニュートリノに関しては、実際の検出の際には無視できない大気ニュートリノなどのバックグラウンドの影響も考慮した結果、スーパーカミオカンデにおいて有意な検出のために必要な期間は、これまでにリストアップしてきたさまざまな不定性に強く依存することが指摘できた。 その他に、原始中性子星における有限温度非一様状態の核物質に関する研究も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超新星背景ニュートリノの研究については、理論的に予想されるさまざまな不定性について系統的に調べた結果を査読誌に論文として発表することができたほか、実験グループからの協力も得て、バックグラウンドに関する議論も進んでいる。一方、ニュートリノバーストに関する研究では、統計的な誤差まで含めると、ニュートリノ観測から爆発メカニズムを探る手法は、当初の想定よりも自明でないことがわかったが、今後、取り組むべき課題が明らかになってきたことから、「おおむね順調に進展している」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
ニュートリノバーストについては、引き続き、ニュートリノ観測から超新星爆発のダイナミクスにつながる情報をいかにして引き出すか検討を進めていく。また超新星背景ニュートリノの研究に関しても、これまでとおり、今後の実験への示唆を与えうる議論を進めていく。
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Causes of Carryover |
年度途中で研究代表者が所属機関を異動したことに伴い、予定していた国際会議参加のための外国出張を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果発表のための国際会議や国内の学会・研究会への参加や、研究打ち合わせのための出張を活発におこなう予定である。
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Research Products
(9 results)