2015 Fiscal Year Research-status Report
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26870618
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
藤田 深里 東洋大学, 生命科学部, 助教 (60633550)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 期間形成 / 発生 / 血管 / 脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脳血管の発生について、細胞挙動と分子機構を解明することを大きな目標としている。脳の中でも、脊椎動物すべてにおいて生存に不可欠な役割を持つ後脳に着目して、その特徴的な分節構造が脳血管の発生にどのように作用するのかを明らかにすることをここでの目的としている。胚体内部を生きたまま観察できる脊椎動物モデルであるゼブラフィッシュを用いて、脳発生時の神経領域・非神経領域の分化と、血管発生の相互作用を調べている。 平成27年度は、平成26年度の研究成果として得られた菱脳節内の血管走行に対するガイダンス因子に対して、モルフォリノアンチセンスオリゴを作製し、遺伝子ノックダウン実験を実施した。候補遺伝子についていずれも変異体とノックダウン胚が同じ表現型を示すことがすでに報告されていたため、この方法を用いた。注入方法として、ゼブラフィッシュ受精卵の1細胞期の細胞にマイクロインジェクションをした。候補遺伝子の1つ目は、変異体では体節の形態形成に異常を生じることが知られており、本実験においてもその表現型が確認された。また、それに伴い、胴尾部の血管形成にも異常が生じることが観察された。本候補遺伝子が胴尾部の血管系の形成に関与することはこれまで報告されていないことから、この結果も新規性がある。また、後脳の血管については、期待の通り、形成異常が認められたため、ガイダンス機能があると考えられた。しかし、2つ目の候補遺伝子に関しては抑制的な機能の報告があったことに反して、ノックダウン胚において血管の低形成が観察されたことから、今後詳細な検討が必要となる。 これらの結果をもとに、平成28年度は遺伝子ノックダウンの結果を評価する実験を行い、後脳中心血管のパターン形成に関わる分子機構を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳血管の発生に関与する誘導的ガイダンス因子と反発的ガイダンス因子について、それぞれのノックダウン実験の結果、それぞれの脳血管の発生に対してなんらかの表現型を示すことを明らかにできたため、おおむね順調に進展していると判断する。一部予測と異なる結果が得られていることから、当初の計画以上に進展しているとは評価できない。今後、それらの結果の示す意味について考察し、分子機構を明らかにするための実験を組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度および平成27年度に得られた結果をもとに、今後は候補遺伝子の機能解析の詳細をさらに検討する予定である。また、継続して、他のガイダンスの候補となりうる遺伝子についても検索して、今後の研究を推進していく予定である。
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