2016 Fiscal Year Research-status Report
ハワイ併合問題にみる合衆国の政治マンガの機能と役割:他者表象の視覚パラダイム分析
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26870631
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
金澤 宏明 明治大学, 文学部, 兼任講師 (40550976)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アメリカ史 / ハワイ史 / 対外関係 / 政治マンガ / 帝国主義 / 市民権 / 史料論 / メディア論 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)収集史料(政治マンガ及び関連文献の図像史料)のキュレーション(ギャラリー展示)『アメリカの風刺画・図像表象を眺める ─ハワイ併合をみるアメリカの視線を中心に─』を行った。以前から収集していたものに加え、本研究で新たに収集した図像史料(電子版を含む)を、図書館ギャラリーを利用して、研究者及び学生一般に向けて展示した(2017年10月13日~11月7日)。
(2)本研究に関連したシンポジウムを主催した(『視聴覚史料と記憶 ─「大きな物語」への抵抗としての政治マンガと文化作品の心象風景─』於:明治大学和泉図書館ホール、2017年2月18日。このシンポジウムでは第1部で、歴史学者の柳原伸洋、映画監督で航空史研究者の片渕須直の両名を招聘し、文化作品と歴史史料の関係について講演していただいた。また、第2部では政治学者茨木正治、文化史家のRonald STEWARTを招聘し、研究代表者を含めた3名でセッションを行い、政治マンガ研究の方法論と実証研究をそれぞれ報告した。
(3)これまでに引き続き、研究報告と史料紹介を目的としたニューズレターを発行し、配布した(ニューズレターは一部の著作権処理の確認をしたうえで今後インターネット上での掲載を予定している)。また、海外査読誌などへの投稿論文2本の準備を行った。シンポジウムや各種研究会での議論を通して、論点と新規性の整理を行い、史料操作の手順を確認した。対外関係史の国際ジャーナルと海外の地域研究誌へ投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、前年度末の研究会を引き継ぐ形で、収集史料の公表を念頭に計画を進めた。キュレーション展示(10-11月の約4週間)では、当該テーマと収集史料をそれぞれ関連付けて体系的・視覚的に全体像を確認しうるキュレーションを行った。この展示では過去のNewsletterやパンフレットの形で観覧者に当該研究の意義の理解を促す史料を配布した。 また、年度末(2月28日)に行ったシンポジウムでは、当該研究の論点を整理しつつ、歴史学の史料論と文化作品の関連性を問う講演と、各領域の政治マンガ研究者の方法論と最新の研究成果を公表するセッションを行うことが出来た。これらの展示やシンポジウム、また各種研究会への参加によって、代表者研究の論点、史料操作の手法をより明確にすることができ、これは次年度の論文投稿準備に大きく寄与した。 このように昨年度の計画内容はほぼ予定通りに進行できたが、その一方でシンポジウムの海外招聘者との交渉や、司会やスタッフの依願に手間取り、本来の10月前後開催の予定から遅れた開催となった。これにより日程がタイトになったことから、予定していた2本の論文の執筆時間と環境を十全にするため、執筆期間の延長を決めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2本の論文の執筆を行う。史料分析(政治マンガ史料分析と歴史学の分析手法の接合)はこれまでの研究活動で緻密化することができたので、政治マンガ史料を歴史学分析上でアメリカ市民権問題と20世紀転換期の島嶼領土問題において考察する1報と,ハワイ併合問題を扱う政治マンガ史料の体系的把捉を促す1報の計2報の論考を執筆予定とする。いずれも海外査読誌への投稿を考えている(Diplomatic History とJournal of Hawaiian Historyを想定している)。 また、これまでと同様に史料の電子処理を進め、一部の史料は著作権確認を行った上でWEBでデータベースを公開する(タイトルなど書誌情報および画像など)。
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Causes of Carryover |
シンポジウムの開催の遅れによって、論文執筆の時間が十全に確保できなかったため、基金の年度継続延長をしたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外査読誌への論文投稿にかかる英文校閲(2報分)、投稿費用、また論文のための文献購入に活用する。また、Newsletterの印刷代、Newsletter及び収集史料のWEBサイト公開のための技術費用(ソフトウェアやサーバースペース代金など)として使用する。
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