2017 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological Study of Myth and Environmental Discourse in Dawasamu, Fiji
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26870634
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
浅井 優一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80726860)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環境運動 / 記号論 / キリスト教 / 儀礼 / メラネシア / 存在論 / 談話分析 / 神話 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィジー諸島ダワサム地域住民による環境保護についての語り・実践と、彼らが日常的に営む神話やキリスト教についての語り、この両者の相関関係についての談話分析の手法に依拠して考察を進めた。特に、2008年4月に、ダワサム地域のナタレイラ村において伝統儀礼用具を焼却した、ペンテコステ系キリスト教団体の組織概要、設立趣旨、活動内容について考察し、同団体に関する資料収集を行った。また、同団体がダワサム地域ナタレイラ村において、3週間の滞在中に行った伝統儀礼用具の焼却を通した「土地浄化儀礼(Healing the Land Process)」の一部始終を明確にした。 こうした分析を行う上で、近年存在感を強くしてきたチャールズ・パースの記号論に基づく人間と環境(文化と自然)に関する人類学的研究から着想を得て、パース記号論を軸にした分析を進めた。これは人間社会が持つ個々の文化的独自性を審らかにしようとするものではなく、文化現象の成り立ち自体へ分析の焦点を移す意味において、メラネシアにおける人格論や南米の多自然主義やパースペクティヴィズム(アニミズム)などを核の一つとする存在論的転回とも方向性を共有する視座でもある。一方で、本研究は、こうした自然への転回自体を、一貫してコミュニケーション出来事を基礎にして捉えることで、過去の研究視座の「乗り越え」や「再考」を打ち出すことによって新規性を喚起するような論議とは性質を異にしている。 成果は、学会発表や論文執筆を通して公表した。特に、本研究の成果の一部を土台にした単著『儀礼のセミオティクス:メラネシア・フィジーにおける神話/詩的テクストの言語人類学的研究』を2017年3月に上梓し、大きな進展を記すことが出来たと考える。
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Research Products
(6 results)