2015 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェン・ヘテログラフェンによる材料設計のための大規模量子化学計算法の確立
Project/Area Number |
26870645
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石川 敦之 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (80613893)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子化学 / 第一原理計算 / 触媒・化学プロセス / 溶液内反応 / CO酸化 / 触媒担体 / 炭素材料 / 反応速度論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、グラフェンなどの炭素系材料の機能・物性およびその触媒担体としての性質を理論的に解明することを目的としている。その研究成果を、以下に列挙する。 (1)グラフェンに担持されたPtクラスターによるCO酸化反応を量子化学計算により検討し、グラフェン担体が反応の進行にとって重要な役割を果たすことを示した。この成果に関しては学会発表を行っており、また学術論文を出版予定である。 (2)本研究課題により得られた触媒化学の知見を活かし、アルミナに担持された様々な金属(Pt, Pd, Ru, Rh, Ni, Au)によるCO酸化反応を検討した。その結果、第一原理計算により算出されたエネルギー論を反応速度論や化学工学シミュレーションと統合することにより、理論のみから反応物転化率曲線を算出することが可能となった。この成果は、触媒活性の理論予測を一般に可能するうえで大きな進展といえる。本成果については学会発表・招待講演を行っており、また学術論文を出版予定である。 (3)本研究課題に含まれている、溶液系の触媒反応への応用というテーマから派生した、溶液内化合物の熱力学量を算出する新しい手法「調和溶媒和モデル」は、本研究課題の重要な成果と言える。本年度においては、本研究課題と関連の深い、電気化学における基礎的な物理量である水素標準電極電位を量子化学計算から正しく算出することに成功した。この成果に関しては学術論文を出版済みである。 上記の成果を活かし、新しい科研費研究課題「温度・圧力等の反応条件を取り込んだ理論化学による不均一触媒反応の機構解明 (若手B, 16K17860)」への採択へとつなげることが出来た。本研究課題で取り扱ったグラフェンなどの炭素系担体による触媒反応も、この研究課題で対象とすることから今後もテーマの連続性を持って取り組む予定である。
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