2014 Fiscal Year Research-status Report
非線形最小化問題に関連する精度保証付き数値計算法の研究
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26870646
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木村 拓馬 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (60581618)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 精度保証付き数値計算法 / 最適化法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,非線形最小化問題の基礎といえる 凸二次計画問題に関連する精度保証付き数値計算法の開発を行った. まず,等式制約付き凸二次計画問題の解の条件に関連する,鞍点型行列を係数にもつ線形連立方程式に対する数値解の誤差評価法を開発した.これは木村・陳の先行研究の成果と同様に,前処理後の行列の固有値の解析に基づく高速な手法であり,精度向上のための二重前処理も考慮している.また,この提案手法は木村・陳の開発手法の拡張となっており,さらにその計算においては,陳・橋本の誤差評価式が用いる数値を保存して,わずかに数回の演算を追加するような組み替えを行うことで,新しい手法と陳・橋本の手法との両方の誤差評価の値を導出し,精度の良い結果を採用することができる.よって,前述の二つの手法よりも新しい提案手法を用いることをお勧めできる優れた手法といえる.この成果については,すでに国内学会・研究集会等で発表し,現在は査読つき国際誌への論文投稿を準備している. また,当初の目的である,等式と不等式の両方の制約が課された凸二次計画問題については,大石・田邊らによる線形計画問題に対する手法の拡張を考え,カントロビッチの定理に基づいた,ニュートン法の数値解に対する誤差評価式の導出を行った.この成果については,現在は数値実験による有用性の確認を行っている. 以上のように,本年度の目標は,ほぼ達成できており,さらに,等式制約のみという限定された場合ではあるが既存の手法の拡張もできている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標である,等式と不等式の制約が課された凸二次計画問題については,大石・田邊らによる線形計画問題に対する手法の拡張を考え,カントロビッチの定理に基づいた,ニュートン法の数値解に対する誤差評価式の導出ができている. よって本年度の目標は概ね達成できており,次年度の目標に取り組むにあたって支障はない.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果をふまえて,次年度は,離散化により凸二次計画問題に帰着するような,非線形最小化問題に対する離散化誤差の評価に着手する. 本年度の成果により,離散化された問題の数値解については誤差評価が可能であるため,離散化誤差の評価を行うことによって全ての誤差評価が可能となる. また,凸二次計画問題に対する誤差評価についても,異なるアプローチによる手法の開発や,高速化・高精度化を行いたい.
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Causes of Carryover |
計画額の99%以上を適切に使用しており,残額は端数である. 次年度は所属機関を異動することとなり,研究環境を再構築するための,予定外の出費が必要となった.よって残額を次年度の,予定外の出費に充てたいため,次年度使用額とした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
所属機関の異動により,前所属機関から貸与されていた数値計算用ソフトウェア等が使用できなくなっている.よってソフトウェアの追加購入を計画している.その他は,当初の計画通りに研究費を使用する.
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