2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26870647
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岡本 真由美 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (40533104)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メタボリック症候群 / ショウガ / 脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題においてはメタボリック症候群改善化合物の合成及び機能解析を行った。メタボリック症候群は内臓脂肪の蓄積を起因とする代謝性疾患の総称で、高血圧、高脂血症、糖尿病を発症する。これまでにショウガ成分の一つである[6]-gingerolおよびその類縁体に血糖値上昇抑制作用および低下作用、体重増加抑制効果を持つことを見出した。本研究は、メタボリック症候群予防治療の創薬に資する活性物質を天然素材から探索し、そのヒット化合物から最適化を行い、リード化合物への合成展開を行った。 [6]-gingerolおよびその類縁体5種類の合成を達成し、5種類をマウスに投与し薬効・薬理試験を行った。高脂肪食による肥満化状況下における化合物の作用を調べるために、高脂肪食に[6]-gingerolおよびその類縁体5種類を混ぜて摂食させることとした。高脂肪食負荷した動物を用いた実験結果より、[6]-gingerolおよびその類縁体5種類すべてにおいて体重増加抑制効果が認められ、カプサイシンを除く[6]-gingerolおよびその類縁体4種類には血糖値上昇抑制効果が認められた。 また、マウスから採取した精巣周り脂肪組織のmRNAで遺伝子発現測定を行った。脂肪細胞は余剰エネルギーを中性脂肪として蓄積するのが主な機能であるが、サイトカインを放出する機能ももつ。脂肪細胞分化関連、脂肪の蓄積・分解関連、インスリン感受性・抵抗性関連で代表的な11種の遺伝子を選択した。 [6]-gingerol誘導体はin vitroにおいて脂肪細胞への直接的な作用で脂質の蓄積を阻害し、脂肪細胞の肥大化を阻害している可能性が示唆され、カプサイシンは糖の取込み及び脂肪合成が増加している可能性が示唆され、[6]-gingerol誘導体とカプサイシンでは異なる機構で白色脂肪組織に作用する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、合成した[6]-gingerolおよびその類縁体5種類の化合物を用いて、動物および細胞での遺伝子発現解析、さらなるリガンド合成、標的分子を探索することを目的としている。平成26年度は[6]-gingerolおよびその類縁体5種類の合成に成功し、動物での効果が示唆された。また、構造的に似ているカプサイシンとは[6]-gingerol誘導体の効果が異なる機構であることが示唆された。平成26年度の研究はおおむね順調に進展していると言える。今後は標的分子の探索へのリード化合物となる化合物合成および標的分子の探索を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に行った高脂肪食負荷した動物を用いた遺伝子発現の機能解析に注力する。分化誘導後の脂肪細胞における化合物投与による遺伝子発現解析を行い、in vitroとin vivoでの相関関係も検討する。平成26年度で合成した化合物からヒット化合物となる構造を決定し、リード化合物となる構造をデザイン、合成を行いメタボリック症候群改善効果の標的分子の単離同定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
分化誘導後の脂肪細胞を用いての遺伝子発現解析を次年度に行うこととしたため、それにかかる費用を本年度が未使用となり、次年度繰越となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分化誘導後の脂肪細胞を用いての遺伝子発現解析に必要な実験消耗品に使用予定
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