2014 Fiscal Year Research-status Report
観光開発における所得格差の縮減に向けたモデルの検討:ケアンズとグアムの比較分析
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26870653
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
小野塚 和人 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (30706792)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 観光 / グアム / オーストラリア / ケアンズ / 日本企業 / 地域開発 / 社会学 / 観光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、グアムに関連した基礎文献の検討、現地での聞き取り調査の実施、資料収集、新聞記事の検討に充てた。 4月から9月の夏学期・夏季休業期間中は、基礎文献と新聞記事の検討を実施した。地元紙Pacific Daily Newsと米国全国紙Washington Postのデータベースを用いて、グアムの社会変容と観光関連政策の変遷に関して、1960年から現在を対象に、記事収集を進めた。 また、夏季休業期間中の9月には、グアムにて現地調査を実施した。この調査では、第一に、現地政府関係者と日本企業の関係者に対してコンタクトを取り、聞き取りを実施した。第二に、資料収集を、主にグアム大学図書館とグアム公立図書館において実施した。ここでは、現地政府の意思決定について、グアム政府議会議事録を中心とした通時的検討に着手した。同時に、現地での関連する研究成果についても、同じく収集を行った。 帰国後から、冬学期終了までの10月から3月にかけては、収集した基礎文献と現地調査にて得られた文献や資料、聞き取り調査のデータの分析を神田外語大学にて進めた。 また、3月にグアムにて、継続的な聞き取り調査と文献・資料収集を実施した。聞き取りについては主に住民に対しては、観光開発への参加過程と、開発により受けた影響について分析を行った。同じく、観光開発従事者に関しては、観光開発における意思決定や、当時の時代状況について、史資料分析の成果とあわせて聞き取りを行った。帰国後は、現地調査にて獲得した資料の整理を行った。 本年度は、本研究の考察対象とするグアムとケアンズの考察のうち、グアム側に大きな重点を置いた。しかし、通年にわたって、オンライン形態で現地紙Cairns Postを購読し、これまでの研究成果に加えて、ケアンズにおける社会変容を把握していったことを付記しておく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、主に夏学期から夏季休業期間にかけて実施した基礎文献の収集と、新聞記事検討については、関係する基礎文献は、日本国内での研究並びに現地調査中において、おおむね収集することができている。新聞記事検討については、マイクロフィルム形態での収集を伴うなど、作業に時間がかかっており、現在の記事検討の完了状況は、5年分にとどまっている。また、現地調査中に得ることができた文献については、現在に至るまで、読解作業を継続して実施している。 次に、現地調査に関しての実施状況は、以下の通りである。第一に、資料収集に関しては、現地の研究機関(グアム大学、グアム現地政府)で刊行されている研究諸成果は、現地において、収集を実施できている。第二に、聞き取り調査については、おおむね順調に進行している。聞き取り対象者(研究協力者)が高齢であり、しばしば連絡を取ることが難しい状況にあるが、関連する現地の方々のご協力とご支援を得て、連絡を取ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は本年度の主たる考察対象としてきたグアムと、2年目以降の研究対象であるケアンズとの比較考察を柱としている。従って、今後の研究の推進方策は主に下記の二点となる。第一に、今後は、ケアンズにおける現地調査を同時並行して行っていくことが必要である。とりわけ、ケアンズにおいては、アジア系企業によるカジノを含む総合的なリゾート開発計画が推進されている最中である。本年度内に、着工が開始されるとの見方が有力であり、その際に、現地調査を行う予定でいる。同時に、現地紙Cairns Postの通時的検討を行うとともに、これまでに実施してきた現地調査での研究協力者についても、継続的に連絡を取ることとしたい。この成果は、オーストラリア社会学会(The Australian Sociological Association)全国大会で報告を行い、現地研究者とも成果を共有する予定である。 第二に、グアムに関しては、これまで行ってきた聞き取り調査の分析と併せて、基礎文献と現地で収集した資料の考察、そして、新聞記事検討を継続して実施していく必要がある。この作業を完遂させることが、今後のグアムを対象とした研究の遂行において最も重要である。今後、この史資料検討などの成果を総合して、聞き取り調査ならびに史資料収集が必要になった場合、追加的な現地調査を行う可能性がある。その際には、日本国内のマリアナ諸島を対象とする研究者から継続して協力を仰ぎ、現地の諸事情の把握、関係者への追加的な接触へとつなげていく予定である。グアムを対象とした史資料検討や現地調査での成果は、神田外語大学学内紀要にて発表を行う予定でいる。
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Causes of Carryover |
第一に、研究計画書に記載したノートパソコンの購入が遅れ、当該年度内の手配が間に合わなかったためである。第二に、3月に実施した現地調査が年度末であったため、決済が次年度扱いとなっているためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第一に、記載時点の平成27年5月において、そのノートパソコンは入手しており、次年度(平成27年度)の計上となる。第二に、当該現地調査の決済に関しては、手続き済みである。
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