2017 Fiscal Year Annual Research Report
Towards Constructing Models for Alleviating Income Inequality through Tourism Development: Comparative Analysis on Social Changes in Cairns and Guam
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26870653
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
小野塚 和人 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (30706792)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オーストラリア / グアム / 観光 / 開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、これまでの観光開発に関する現地調査の成果の整理と共に、追加的な調査として、観光開発の次に考案される代替案のひとつとしての鉱山開発と資源採掘に注目し、オーストラリア(キャンベラとシドニー、パース)への現地調査を行った。いずれも、失業者対策と余剰労働力の吸収策としての観光開発と鉱山開発の関連性の考察を、政府の政策傾向から解明することを目的とした。この点に関し、西オーストラリア州立大学にて観光や鉱山開発に関連する研究者と面談を行い、鉱山会社の従業員からも聞き取りを行うことが出来た。 結果として、観光業と鉱業分野はそれぞれの領域で失業した労働者の受け皿として相互補完的な機能を担っていることが判明している。航空機を用いた長距離通勤による鉱業分野での雇用形態は、労働力の供給を広範な範囲で可能にしている。この新たな雇用形態と鉱山開発の進展がもたらす社会経済的な影響について、それぞれ『オーストラリア研究』と『グローバル・コミュニケーション研究』に成果を投稿すべく新たな準備を始めるに至った。 また、観光開発は大量の非熟練労働力を必要とするものであり、そうした労働力の調達手段として移民を求めるケースが他の開発事例に多く見られることが、調査の過程で判明している。そうした新たに到来した移民が多文化化を推進し、そのことが新たな産業を興隆させる場合もある。今後の研究は、観光業と関連して、移民労働力の受け入れとその活用のあり方について、労働関連政策の変遷と共に考察を進めたい。観光開発は日本においても近年積極的に推進され、国策の一端を担っている。本研究の知見を日本の観光推進へと応用させ、所得格差縮減への貢献、住民参加型の効果的な観光開発のあり方に関する成果発表へとつなげていきたい。
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