2014 Fiscal Year Research-status Report
遠隔重機オペレータの環境把握性を強化する視覚提示システムに関する基礎研究
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26870656
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
亀崎 允啓 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (30468863)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遠隔操作 / 視覚提示 / 災害対応 / カメラ制御 / カメラ映像 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,制約条件を考慮しない理想条件下での基盤モデルを導出することを目的として,「A.オペレータに提供すべき映像の分析とモデル化」および「B.環境カメラ・モニタシステムの設定方法の開発」を行った. A.「オペレータに提供すべき映像」の分析とモデル化 オペレータの環境把握性を満足すると考えられるカメラ映像群を,作業環境や機体状況,オペレータの認知・心理的側面から分析し,作業状態・視点・視野角・動作モードの4パラメータを変数として映像のモデル化を行った.作業状態は,申請者が開発してきた状態識別技術を応用し,映像提示に特化した単位を新たに定義した.視点・視野角・動作モードは,奥行き感認識の難しさや同一撮像対象に対する異なる2視点映像の必要性などを考慮して定義した.複数の地理条件をVRシミュレータに構築し,得られた映像群を再現することで,映像モデルの汎用性と視認性向上効果を確認することができた. B.環境カメラ・モニタシステムの設定方法の開発 Aで設定した映像群を提供可能なカメラ・モニタシステムを導出する逆モデリング手法を開発した.まず,1つの映像に対するカメラ設置可能範囲と最小設置個数を,撮像対象・障害物・動作モードをパラメータとした3次元幾何計算から導出した.これを映像群すべてで行い,映像とシステム設定範囲の関係性を明確化した.次に,カメラ数の最小化と環境把握性の最大化を図るため,線形最適化手法を用いてカメラの統廃合を行い,必要十分なシステム設定を導出する方法論を開発した.最後に,異なる2視点映像など,同時に提供すべき映像の分析から最小モニタ数を導出した.ここでは,ヨー・ピッチ・ズームとモニタへの出力映像を調整できるものとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,遠隔重機オペレータの環境把握性を強化する視覚提示システムにおいて,制約条件を考慮しない理想条件下での基盤モデルを導出した.実用的なシステム構築には,顕在的なニーズだけでなく,現場が気付いていない潜在的なニーズを発見することが重要である.情報・機械系を専門とする学内研究者との意見交換を行える研究体制も構築済みであることから,国内外の学会などで有益な研究成果を上げている.理論的考察を中心とした分析から本質的な課題を明確化できたことから,当初の予定に沿って研究が展開できているといえる.次年度には,実際的な制約条件下においても効果的な映像提供が可能な適応的なシステム開発に取り組むのだが,本年度の成果をベースとしたスムーズな開発できると考えており,学術的・実利的価値の高い視覚提示システムとなることが期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,26年度の成果を踏まえ,現実の制約条件下での適応的映像提示手法の開発および統合評価実験を行う. C.制約条件下での適応的映像提示手法の開発 制約条件下で所望の映像を提供するために,複数のカメラロールを作業状況や作業機位置に応じてカメラ間で受け渡し,システム全体で最適化されるように割り当てを行う適応的映像提示手法を開発する.26年度の結果をベースに撮像対象(機体全体・手先部など)と撮像モード(追従・拡大など)を組み合わせて,調整性・再利用性の高いカメラ制御を行うための撮像モジュールを複数個定義する.奥行き感補完や後方安全確認などのロールプロパティを明確にし,状況に応じた担当優先度を設定する.カメラ・作業機・対象物・障害物との相対的な位置関係と当該作業状況で優先されるべき撮像対象を考慮して,カメラとカメラロールの関連付けを行い,システム全体での割り当ての最適化を図るロールアサインメントシステムを開発する. D.VRシミュレータを用いた実証実験と実験結果に基づくシステムパラメータの調整手法の開発 開発・評価を効率的に行うために,VRシミュレータを用いる.災害復旧作業を再現し,設定方法(手動・最適化)と運用方法(固定・適応的制御)の組み合わせ4パターンにおいて,作業効率や安全性,作業品質の違いを評価する.オペレータが見ているモニタや視線移動頻度などを定量化する視線計測装置やアンケートを利用して環境把握性の向上を確認する(1次実験).このデータを作業状況やモニタ映像と関連付けることで,環境把握性を更に高めるカメラ制御パラメータやオペレータ特性に適応したモニタ配置などを導出し,諸条件への適合を図る簡便な学習手法を開発する.パラメータ調整後の視覚提示システムにて再度実験を行う(2次実験).
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Causes of Carryover |
旅費および謝金の一部を別の予算から支出することが妥当であったため,差分が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
設備備品費・消耗品費:臨場感や物理挙動の再現性向上が不可欠であるため,映像提示系の改良を行うための装置部品を購入する.国内・外国旅費:本課題の研究成果を広く学術界・産業界に認知させ,国内外の人間-機械系知的システム技術向上に寄与するための費用として学会出張費に充てる.提案する課題において欠かせない作業現場での調査や計測を行うための費用についても支出する.人件費・謝金:本課題を遂行するためには,視覚提示システムの有用性をさまざまなオペレータに使って頂き評価をすることが不可欠となる.実際の重機オペレータへの実験協力費として謝金を積算した.また,成果発表に必要な英語論文校閲費や本課題の成果を広く発表するための論文投稿費として支出する.
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Research Products
(23 results)