2014 Fiscal Year Research-status Report
運動部活動指導時における指導者の声かけが学習者の自己能力認知の変容に及ぼす影響
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26870661
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
安部 久貴 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (40634556)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 部活動指導 / サッカー / 自己有能感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では学校でのサッカー部活動の指導中における指導者の声かけに焦点を当て、学習者に対する期待が部活動の指導者の声かけに与える影響について検討するとともに、その指導を受けた学習者の自己能力評価の変容について検討することを目的とした。 研究目的を達成するために、平成26 年度はサッカー指導者の指導行動を分析し、指導行動の観察指標を作成した。具体的には、年代および競技力の異なるサッカーチームを指導する複数の指導者の指導行動をVTR 撮影し、指導者の発話の逐語録を作成した。その後、映像を確認して文脈を把握しながら指導者の発話をコード化した。さらに、コード化された発話をカテゴリーとしてグループ化することによって、指導者の指導行動分析を可能にする指標を作成した。分析に使用した映像は約80時間分であった。これら一連の作業は、スポーツ心理学、サッカーもしくはその他の球技系スポーツ種目のうちの一つ以上を専門とする複数の専門家の合議によって進めた。 以上のプロセスを経てサッカー指導者の指導行動を分析したところ、【賞賛】、【励まし】、【叱責】、【直接的指導】、【間接的指導】、【統制的行動】、【親和的行動】、【その他】の8指標が指導行動の観察指標に成り得る可能性が示唆された。 平成27年度は上述の観察指標を用いて、選手に対する指導者の声かけについて縦断的に検討するとともに、声かけに指導者の期待が及ぼす影響や指導を受けた学習者の自己能力評価の変容についても検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の目的は、サッカー指導者の指導行動を分析し、指導行動の観察指標を作成することであった。目的を達成するために、複数の指導者の指導行動を計80時間分以上分析し、【賞賛】、【励まし】、【叱責】、【直接的指導】、【間接的指導】、【統制的行動】、【親和的行動】、【その他】の8指標が指導行動の観察指標に成り得る事を明らかにしたことから、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は昨年度に作成した観察指標を用いて、選手に対する指導者の声かけについて縦断的に検討する。加えて、声かけに指導者の期待が及ぼす影響や指導を受けた学習者の自己能力評価の変容についても縦断的に検討する。この研究では、10週程度の観察期間を予定していること、および指導者に選手全員分の能力評価を依頼しなければならず、調査対象となるチームおよび指導者を複数見つけることが困難と予想していた。しかし、現在の複数チームと交渉が順調に進んでおり、場合によっては2チーム以上の協力を得られる可能性がある。
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Causes of Carryover |
平成27年度に実施予定の縦断的研究への研究協力校が増える可能性が高まったことにより、平成26年度の指導者の発話分析にかける費用を抑えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、国際学会への参加が決定しているため旅費として使用するほか、当初の想定以上必要になる「文字起こし」のための人件費と調査のための謝金を次年度使用額も併せた助成金から支払う予定である。
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