2014 Fiscal Year Research-status Report
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26870670
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
森脇 健介 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (10514862)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 費用効果分析 / 数理モデル / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
骨粗鬆症治療の費用効果分析モデル構築を実施するにあたり、システマティックレビューを行い、2006年~2014年までに公表された骨粗鬆症に関する医療経済評価を網羅的に収集した。68件の原著論文を同定し、費用対効果のエビデンスを整理し要約を行った。続いて、日本での診療パターンや疫学データを反映した数理モデルの構築を行った。過去に作成したモデル構造を基本に、橈骨遠位端骨折と上腕骨近位部骨折を含め、骨粗鬆症性骨折のリスクを包括的に評価できるよう構築を行った。なお、構築したモデルの妥当性評価のために、様々な年齢、骨密度、保有危険因子の組み合わせ別に、骨粗鬆症性骨折の10年確率を計算し、WHOが開発した骨折確率予測ツールであるFRAXによる推計値との比較を行った。結果、各条件においてFRAXによる推計値と大きく乖離しないことが確認され、当該モデルが妥当性を有することが確認された。 構築したモデルをもとに、以下のテーマについて探索的な検討を行った。①骨粗鬆症に対する複数の薬物治療の費用対効果の比較:既存骨折を有する骨粗鬆症患者に対する薬物治療の費用対効果について、複数の治療法間での比較を行った。シミュレーションの結果、アレンドロネートによる治療が最も効果が大きく、かつ費用が少なく、当該治療が優位であることを明らかにした。また、パラメータの不確実性を評価するための感度分析によって結果の頑健性を示した。②骨粗鬆症検診の費用対効果の評価:日本人女性を対象とした骨粗鬆症検診の費用対効果について、年齢別、リスク因子別の検討を行った。その結果、医療経済の観点から骨粗鬆症検診が推奨される集団は65歳以上であることを明らかにした。また、飲酒、喫煙、家族の大腿骨近位部骨折受傷歴のうちいずれか1つのリスク因子を有する場合、60歳でも容認されることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、初年度に骨粗鬆症性骨折治療における医療資源の消費パターンの推定を行うことを目的に、協力医療機関に蓄積されたレセプトデータに基づく解析を予定していた。しかしながら収集に係る労力・費用とデータの質・量とを勘案した場合、より大規模なデータベースを利用した解析がより望ましいと考え、医療費の解析を次年度に実施することとした。なお、データの抽出条件および解析法は決定しており、全体の進行に及ぼす影響は限定的である。
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Strategy for Future Research Activity |
構築されたモデルに基づき医療経済評価を行うために以下の取り組みを行う 1.骨粗鬆症患者のレセプトデータ解析を通じて、各種骨折の医療費データの推計を行う。 2.複数の治療法間における有効性の間接比較を検討し、各治療法の骨折に対する相対リスクの推定を行う。
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Causes of Carryover |
当初、協力医療機関に蓄積されたレセプトデータに基づき、骨粗鬆症性骨折や薬物治療の医療費の解析を実施することを予定していた。しかしながら収集に係る労力・費用とデータの質・量とを勘案した場合、後述の商用の大規模データベースを利用した解析がより望ましいと考え、次年度の解析実施を前提に、予算の一部を商用データベースの利用に係る費用にあてることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に、株式会社日本医療データセンターが提供する健康保険組合のレセプトデータベースを用いて、骨粗鬆症性骨折や薬物治療の医療費の解析を実施するため、初年度予算の一部(102,020円)をデータベース利用に係る費用として使用する。
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