2014 Fiscal Year Research-status Report
乾燥地域農業の現代的変容と課題―イリ・カザフ自治州の施設栽培をめぐる動きから-
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26870676
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
古澤 文 千葉大学, 文学部, 助教 (50634812)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 乾燥地農業 / 施設栽培 / 新疆ウイグル自治区 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は乾燥地域の農業として近年増加傾向にある施設栽培に着目し,その立地特性および栽培から市場で販売されるまでの現状を明らかにし,課題を検討することを目的としている. 今年度は温室で栽培された野菜の販売状況を把握するために、その市場として有望視されている隣国カザフスタン各地のバザール(アルマトゥ、ジャルケント、シムケント)にて現地調査を実施した。中国産輸入野菜の流入量は近年増加傾向にあり、特にカザフスタン東部においてそれは顕著に見られた。聞き取りによると厳冬期(2月~4月)になると市場に出回る野菜の8~9割が中国産になるということであった。その輸入先は隣接する新疆ウイグル自治区のみならず、むしろ中国の東部沿岸地域(主に山東省)などが主な取引先としてあげられた。地理的近接性だけではない別の要因がそこにはあるものと考えられる。 また、対象地域の新疆ウイグル自治区イリ・カザフ自治州の施設栽培の立地について、すでに取得済みの衛星画像の目視判読を実施し、分析を進めている。イリ・カザフ自治州の中心都市グルジャ市近郊では2000年代に入ってから温室の建設が進行しているのだが、温室は耕地に密集して建てられる傾向にあり、これは政府が推奨する施設栽培の基地・規模化を反映したものと考えられる。 以上の成果を学会にて計2回 報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カザフスタンでの市場調査、新疆ウイグル自治区での文献収集については当初の計画を達成することができた。対象地域の衛星画像判読については、すでに取得済みの画像分析は進んでいるが新規候補地の判読はやや遅れている。理由は対象地域では新たな施設栽培基地が多数あり、それらの中から選定するためには現地の情報が必要不可欠である。しかし情勢を勘案し現地調査を控えたため情報が不十分と判断し、今年度の候補地の選定を見送ったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
新疆ウイグル自治区における施設栽培の実態把握および衛星画像判読のグランドトルゥースのための現地調査を実施する。また衛星画像の判読を進め、その結果をGISに取り込みデータベースの構築を行う。
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Causes of Carryover |
衛星画像を用いて施設栽培地域の立地特性を分析する計画であったが、現地の情勢を勘案し調査が不十分になったため新規候補地が定まらず、画像購入費の未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既得済み衛星画像の分析結果ならびに、今年度実施予定の現地調査の結果を踏まえて候補地を選定し、速やかに分析作業を実施する。
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