2014 Fiscal Year Research-status Report
成体神経幹細胞の恒常性維持機構とその認知機能形成における役割の解明
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26870683
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大内 靖夫 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (70553858)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 成体神経幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従い、Nestin-CreERT2、Gt(ROSA)26Sortm1(EYFP)Cos、Dgcr8(+/-)統合失調症モデルマウスの交配を進め、得られたマウスに対して、Tamoxifenの投与の条件検討を行い、成体神経幹細胞のEYFPによる可視化の条件検討を行った。既報の条件に従い1, 2ヶ月のNestin-CreERT2; Gt(ROSA)26Sortm1(EYFP)CosマウスにTamoxifenを連続投与し、3、7、28日目に免疫組織化学的手法およびFACSを用いてEYFP陽性細胞の解析を行ったところ、成体海馬歯状回に内在する成体神経幹細をEYFPにて標識することができた。しかし、当初の予想以上に、Tamoxifen連続投与後3日後におけるEYFP陽性細胞が少なかったことから、本解析に用いるCreマウスを変更することも検討している。一方、我々の作成したDgcr8ヘテロ欠損型統合失調症モデルマウスでは、海馬におけるIgf2の発現低下が認められるが、本年度、このIgf2の発現低下の分子機構を明らかにするため、Dgcr8(+/+), Dgcr8(+/-)マウス海馬におけるIgf2遺伝子近傍領域のDNAメチル化解析をBisulfite sequence法を用いて解析を行った。その結果、Dgcr8ヘテロ欠損型統合失調症モデルマウスの海馬ではIgf2の発現制御に関わる一部のゲノム領域で低メチル化が起きていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年6月に東京大学医科学研究所に転出したため、本研究課題の実施に必要な試薬、研究機器だけでなく、交配および繁殖を進めていた遺伝子改変マウスを全て凍結し、中部大学から東京大学に移動した。その為、本研究の遂行に必要なマウスを再度、凍結胚から繁殖させること必要があり、本年度計画していた解析を行うのに十分なマウスの匹数を確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、当初計画していたマウスの繁殖を進めると同時に、他の神経幹細胞特異的Creマウスを入手し、交配を行うことで、EYFPで標識される成体神経幹細胞数を向上させたいと考えている。またDgcr8ヘテロ欠損型統合失調症モデルマウスにおける成体神経幹細胞のエピゲノム解析の予備検討として、Dgcr8+/-とDgcr8+/+マウスの海馬組織全体でのエピゲノムの解析をAgilent mouse CpG Island microarrayを用いて行う予定である。
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Causes of Carryover |
昨年6月に中部大学から東京大学医科学研究所に転出したこともあり、中部大学で雇用していた技術員1名を引き続き雇用することができなくなった。一方、東大医科研への移動にあたり、試薬、機器、マウスの輸送、セットアップなどに関して予算が必要となった。そこで当初、人件費・謝金分として計画していた研究費を、マウスの輸送等の費用に充てたところ、次年度使用額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、東大医科研に輸送したマウスの交配および繁殖を行っているが、今回生じた金額に関しては、マウスの凍結胚の保存の費用に充てる計画である。
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Research Products
(4 results)